Epic Theft世界樹の迷宮メインの二次創作とか語りなブログ。
旧世界樹のめいろですが別に中身なにひとつかわってません。
絵とか小説とかあるよ。CATEGORIESからどうぞ。
リンクフリー。バナーはPROFILEの中にありますよ

公式とは全く関係ありません

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
スポンサーサイト
0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    | - | - | - | posted by スポンサードリンク -
    【小説】第二十四話:扉 14:27
    0
       隊列を組んだ兵士達が一斉に放った矢が雨のように降り注ぐ。そして盾を構えた兵士達が、あるいは様々な武器を操る冒険者達が、その脅威に立ち向かう。
       前線で剣を振るう者達に見えるものは多くない。ただ自分とその隣に居るものが生き残ったかそうではないか、それだけだ。
       突如、戦場の音を切り裂くように鐘の音が鳴り響いた。戦士たちの意識が一瞬それに向く。その中で剣を振るっていた、ギルド『ライラック』のフェズは唇を噛み締めた。

      「撤退だってか!?馬鹿言うなよ、これ以上下がってどうするってんだ!!」
       吐き捨てながらも彼自身も理解していた。既にここも放棄するより無い事を。撤退の為背を向けた兵士を獣の爪が容赦なく切り裂く。フェズが駆けつけた時には既に遅かった。

      「畜生!」

       怒りに任せ振り上げた剣で手負いの獣に止めを刺す。勢いのまま後続の熊へ仕掛けようと茂みを掻き分け踏み出す。

      「フェズ、撤退よ!これ以上無茶したら取り残されるわ!!」

       人波を逆らうようノーチェが駆け寄ってきた。一瞬気を取られた彼の横に獣が圧し掛かってくる。自身の迂闊を悔いたフェズだが幸いにも獣は事切れ倒れただけだった。

      「あんまり気張るなよ。死ぬぜ」
      「な…気張ってなんかねえよ!」

       思わずフェズは言い返す。が、その獣を仕留めたと見える青髪の男…ギルド『アメフラシ』のイールディは最初の一言だけで撤退する人並みの中に消えていった。

      「フェズ、大丈夫?!」
      「当たり前だろ!まだやれるのに、なんで逃げなきゃなんねーんだよ!」

       何時もならノーチェはそんなフェズを咎めるのに少し辛辣な言葉を選んだかもしれない。しかし彼女はフェズの手を握り締め真顔で首を振った。

      「お願い、今は退いて。アンタがここに居るんじゃ、アタシだって退けない」
      「…わかったよ」
       
       何時に無く真摯なノーチェの瞳にフェズは頷くより無かった。

      「スマルト!アプリコーゼ!行くぞ!」

       フェズは一線を離れた場所に立つ騎士と、騎士に守られながら負傷者の治療に当たる少女に声をかけた。

      「あの…僕は撤退…したいんだけど」
      「もう少し、待ってくださいね〜。もう少しで終わりますから」

       間延びした口調で返答するアプリコーゼは、それとは裏腹に素早く治療の手を動かす。しかし彼女を遮るよう患者は軽く呻きながら身を起こした。自身の剣を杖代わりにしながら。

      「サンキュー。もう大丈夫だ。一人で歩ける」
      「でも、まだ終わっていませんよー。きちんと処置しないと化膿してしまいます。特に樹海の獣の爪はバイキンが一杯で…」
      「じゃ、後で頼む。今は一先ず逃げとこう」

       剣士がその赤い髪を掻き毟り立ち上がると、患者を失った治療師もようやく腰を上げた。スマルトとフェズがしんがりを勤めながら、彼らも戦域を離脱した。 
       戦場は徐々にエトリアへと近付きつつある。



       ***



       既に幾つかの夜と朝を魔物と共に迎えた。
       夕暮れのキャンプでは兵士も冒険者も入り混じりそれぞれに暖かな火を囲み食事を取っている。あるいは天幕の中で仮眠をとっている。彼らはもう数刻もすればまた木々の合間より届く唸り声の元へと向かわなければならない。
       治療師たちは昼夜問わず駆け回り、避難すべき民も交代で炊き出しを行なっている。中には物資を寄付するものさえ居る。昼間もシリカ商店より多数の武具やオイルの寄付があったところだ(最もシリカの事だ、全くの『無償』では無いだろうが)。
       そして今も配給とは違う大鍋がキャンプの中央に置かれていた。どう炊き出しと違うのかといえば、それを配っているのは真っ赤な武具を身につけた少年だったからだ。今は剣の変わりに鍋と杓子を持っているが、昼の戦闘では前線に赴きその剣を振るっていた。アプリコーゼの治療を受けていたあの剣士だ。
       そんな彼の目の前に器が付きだされる。

      「ください」
      「あれっ、お嬢ちゃん、また来たのか?けど、おかわりはタダってワケにはなー」

       器を差し出したのは、ギルド『ブルーリーフ』のプレナだ。幼い錬金術師はここでも少女と間違えられてしまうが、気にせず器を持った手で後方を示した。赤毛の少年が釣られて見ると長い金髪の女騎士が配給の食事を並べているのが見える。

      「そっか、お姉ちゃんの分か。じゃあ仕方ないな」

       苦笑いしつつ少年は差し出された器に大鍋のスープを注いだ。湯気と共に食欲をそそる香辛料の香りが広がり、プレナはぱっと顔を明るくする。器を大事そうに抱え幼い錬金術師は女騎士の元へと戻った。
       その様子を見送る少年に一人の兵士が声をかける。

      「なんだ、肉屋の坊主じゃねえか。何やってるんだ、こんな所で」
      「何って、エトリアを守りに来たに決まってるだろ?このままじゃ店も開けないし、何より店が無くなったら困るしな」

       鎧を身につけ剣を佩いてはいるものの、彼は兵士でも冒険者でも無かった。ありていに言えば「肉屋の息子」だ。母と妹と三人で『フォーリス』という肉屋を営んでいる。

      「だってお前、奥さんと嬢ちゃんはどうしたんだよ?」
      「避難所に決まってるだろ。そこまではちゃんと送って来たって!」

       言っている間にも、鎧を着た奇妙な配給者の前に器が突き出される。帽子を被った長身の男はギルド『アンフィニ』のチェスターだ。

      「一杯1エンね。三杯目からはおかわり自由」
      「…金、取るのか?」
      「当たり前だろ?こっちだって商売なんだから」

       どう見ても商売人には見えないが、少年は商売だと主張する。

      「さっきのガキは金払ってたように見えなかったが?」
      「あれは特別。あんなちまっこいのが戦場に来てるんだ。成長期の子供はお腹一杯食べなきゃいけないだろ?」

       チェスターは舌打ちしつつも少年に1エンを手渡した。

      「まいど。肉、多めにオマケしとくよ」
      「そいつはどうも」

       受け取った暖かい器を抱え、彼もまた仲間の元へ戻っていった。

      「…なんだ、商売しに来たのかい。ずいぶん気前良いと思ったよ」

       客が去ったのを見て先ほどの兵士が再び声をかける。

      「そりゃ、こっちだって生活かかってるしな。しばらく店閉じたままだし、折角の良い肉がダメになったら勿体無いだろ。ほら、スパイスだって惜しみな〜く使ってるんだぜ?」
      「それだってどうせ、シケちまいそうな在庫の一切処分なんだろ。…ま、いいや。一杯くれよ」

       腰を上げつつ兵士は器を差し出す。少年は左手で1エンを受け取り右手で器に香辛料の煮込みを注ぐ。
       現実問題、初日は不足なく配給された食事も日が進むにつれ徐々に量質共に落ちてきている。現状、エトリア防衛に参加している兵士や冒険者(最も、冒険者の中には戦闘には参加せず食事時だけこっそりキャンプに現れる者もいるのだが)の食事は全て執政院で賄っている。樹海を塞がれ消費するだけの現状、備蓄している物資も当然無限ではない。
       そんな状況でも…あるいは“だからこそ”美味い物を口にしたいという願望はある。
       先ほど少年に金を払ったチェスターが仲間の元へ戻った時も、丁度ユリエルが野菜くずの浮いた配給のスープに顔をしかめているところだった。

      「タダで食わせてくれるとは偉そうに言ったものよ。こんな家畜の餌にも劣るもの、タダで当然だろう」
      「お前の所の家畜は、一体どんなご馳走食ってたんだ」

       あくまで『質素な食事』ランクの物を酷評するユリエルに呆れつつチェスターは腰を降ろす。彼の持つ香辛料の香りにユリエルが顔を上げた。

      「それはなんだ?」
      「そこで肉屋が売ってた」
      「…美味いな」

       傍らに香辛料の煮込みを置き食事の体勢を取った僅かな隙、その間にユリエルは器を奪い取りスープを口に運んでいた。

      「な…おい、それは俺のだ」
      「何をケチな事を言っておる。また買うて来ればよかろうに」

       すっかり器を抱え込んだユリエルを前にチェスターは諦めの吐息を吐く。額を押さえながら彼は再び腰を上げた。

      「ああ。ついでに私の分もお願いしますわね」

       傍らに座るカミラも口添えた。チェスターはもう一度嘆息した。
       一方では、ギルド『ブルーリーフ』のプレナ達も配給品に一品を添えた食事を楽しんでいた。器のスープを一生懸命かき込むプレナの姿を見つめているのは、彼の姉のセレスだ。

      「美味しいね、プレナ」

       問い掛けにプレナは二度三度と頷く。口いっぱい頬張り声が出ないのだ。幾度か咀嚼し飲み込んでやっと開いた口で呟く。

      「昔、家で食べたのと、一緒」

       プレナの言葉にその姉は食事の手を止め寂しそうに微笑んだ。

      「家、帰りたくなっちゃった?」

       そっと問いかけると、プレナはふるふると首を横に振った。

      「そっか。…ありがとう」

       出かかった謝罪の言葉を飲み込んで、セレスが発したのは感謝の言葉だった。

       一人二人と食事の場に香辛料の香りを持ち込み、そこから二人三人と器を持った客が剣士に扮した肉屋の元へと向かう。
       そうして瞬く間に鍋は空となり、少年は満足そうに片付けに入った。売り上げを避難所の母の元へ届けなくてはならないからだ。そんな彼は不意に近くを通り過ぎた場違いな姿に気付き、慌てて声をかけた。

      「こんなところで何してるんだよ!」

       呼び止められ振り返ったのは詩人…衣装めいた服と手にしたリュートからの判断だが…だ。ここでは身奇麗なその姿は嫌でも目立つ。詩人は友人の姿を見つけると少し微笑んだ。

      「別に…ちょっとね」
      「お前みたいな細っこいのが、こんなとこうろついてたら危ないだろ」
      「大丈夫だよ。…少し見に来ただけ。そう…友達の詩人がみんなの激励にキャンプに行ったって聞いて。僕もそうしようかなって」

       はにかむような詩人の微笑みに、友人である少年はそうか、と笑った。

      「キミこそ怪我したみたいだけど。大丈夫?」
      「え…?ああ」

       腹部の包帯に気付いたのだろう。自分の事のように悲しげな顔をする詩人を元気付けるよう、少年は胸を張った。

      「大した事ない。ちょっと激戦区に居たんだ」
      「そんなに数は多いの?」
      「ちょっとシンドイかもな。今日も一箇所撤退したし。でも大丈夫だって。冒険者達も出てくれてるし。他所から来てるのがほとんどなのにな」

       詩人の口が“やっぱり”と言うかのように動いたが、少年はそれを見ては居なかった。

      「俺は今からちょっと避難所に届け物するんだけど…一緒に行くか?」
      「ううん…僕はもう少し居るよ」
      「そっか?…早く戻れよ」
      「ありがとう」

       巨大な鍋を抱え少年は詩人の前を去った。
       その後姿を見つめながら残された詩人はふと表情を曇らせる。そして胸中で呟く。

      (やっぱり、ウソだった)

       魔物の襲撃を受け市民が集う避難所で、執政院はそれでも現状は街に危険は無いと言っていた。だが実際来て見ればこの通りだ。戦士たちは倒れ傷付き魔物の集団は今にもエトリアに攻め入らんとしていると言う。
       この詩人がキャンプに訪れたのも伝えられるままの情報に疑念を抱いたからだ。そのために慰問に扮しキャンプを訪れたのだが…。
       来てよかったと詩人は思う。このままでは何も知らぬまま魔物の手にかかることにさえなりかねなかった。エトリアに危険は無いと信じながら。

      「一曲、ご一緒しませんか?」

       不意に声をかけられ詩人は顔を上げる。彼に声をかけたのもまた詩人だった。
       大き目の岩を背もたれに座るその詩人はアルフォンスだ。ロイ達が第五階層へ向かった後、彼は単身で防衛隊に参加していた。
       アルフォンスはゆっくりとリュートを鳴らす。有名な楽曲の前奏だ。

      「ご存知です?」
      「ええ」
      「なら如何です?この夜を共にある偶然を祝して」
      「…構いませんよ」

       あまり気乗りしないままに詩人は傍らに腰を降ろし弦を弾いた。それにあわせるようにアルフォンスも指を動かす。
       静かな二つの旋律が絡み合い宵闇のキャンプを流れてゆく。冷たい風とともに。寂しげな旋律は徐々に互いを昂らせその響きを強く大きくしてゆく。
       そんな中でやがて一人、手にしたフルートを吹く者が現れる。初めは主張せずに弱く、段々と強く。詩人が顔を上げるとその奏者と目が合った。瞳だけで微笑みかけられ詩人も思わず笑う。
       別の一人が手のひらでクロタロを鳴らす。ヘタクソな笛をひゅうひゅう言わせながら混ざる者も居る。歳若い少女がくるくると舞を披露し始める。元某国の召し抱えであった奏者もいれば、つい先日弦の弾き方を覚えたものも居る。毎夜のように『金鹿の酒場』に不協和音を響かせ顰蹙を買う男も居れば、休日にはベルダ広場にてその美声を披露する女も居る。
       二つの音に始まった曲はやがて数多な旋律と溶け合いキャンプに響いた。
       男達の声援の中、見事な剣舞を披露しているのはテムシュだった。そんな彼女の舞に対するように斧を持って躍り出たのは、プレナの仲間の女戦士であるサイト。テムシュは始めこそ驚いたものの彼女との演舞に興じた。流れるような剣の閃きと力強い斧の唸りが呼応する。二人の戦乙女の舞に場は益々興起する。
       そこに集う人の思いであるような混沌の音色に、誰しも耳を傾けていた。獣の咆哮を飲み込む力強い響きに、人は癒され鼓舞される。
       始めは億劫そうに弦を弾いていた詩人も、無意識にその唇で小さく歌を口ずさんでいた。


       **


      「なんだ、やけに賑やかだな」
      「静まっているより良いでしょうよ」

       外の喧騒にテントから顔を出したガンリューは、オレルスの言葉にそれもそうだと引っ込んだ。気を散らすなと咎めるよう咳払いをしたのは高位を示す章を付けたエトリアの正規兵だ。その脇にはもう少し位の低いと見える若い兵士。さらに幾人か…冒険者や兵士が話しに耳を傾けるため集っている。その中には今はフリーランサーの騎士、ファリーツェも居た。
       彼らが囲むのは大きな机。上には地図がある。エトリアと樹海入り口付近までの描かれたその地図を前に今後の事を話し合っていたところだ。
       オレルスが地図を覗き込み一箇所にラインを引く。

      「話を戻しましょう。戦線を下げ一本化するというのがこれまでの話でしたね」
      「その通りだ。広域な場所では乱戦に陥りやすい。狭い区画で一気に叩けば戦力を集中できる」
      「だが、エトリアに近すぎねぇか」

       ガンリューが口を挟む。

      「突破されたら防ぎようが無いぜ」
      「このままではどの道同じ事だ」

       ふむ、とガンリューは口を閉ざす。その後ろから地図を覗き込んでたファリーツェが声を上げた。

      「それだと拡散型の攻撃に対し逃げ場が無いように見えるが、対応策はあるのか?」
      「…なんだお前は?」

       若い兵士が見慣れぬ騎士を睨みつけた。ファリーツェは軽く頭を掻く。

      「失礼。俺はファリーツェ・ナギ・メルダイス。…フリーの冒険者です」
      「俺が同席許可したんだよ」

       ガンリューの一声に若い兵士は口を閉ざす。

      「で、なんだ坊主。拡散型とはどういう事だ」
      「数日前に、うごめく樹のような魔物に出くわしたんだ。そいつが毒性の花粉をばら撒いて来た。密集地にぶちまけられたら対処しようが無いが考えはあるのか、という事だ」
      「動く樹だと?そんな報告は無い」

       先ほどの兵士が再度口を挟む。
       兵士の言葉は事実だろうとファリーツェは思う。彼とてその魔物を目にしたのは一度だけ…道に迷い奥地へ踏み込んでしまったあの時だけなのだ。しかし…。

      「存在するのは確かだ。疑うのは構わないが、それで死者を増やすのは愚かだと思わないか?」
      「なんだと?」
      「…事実だろうよ。少なくともそんなバケモノが存在するのは間違いねぇ」

       低い呟きにファリーツェも兵士も口を閉ざし言葉の主を注視した。しかしその隻眼はそれ以上の言及を拒否している。事情を知ってか知らずか、気を取り直すように高位の兵士が咳払いしファリーツェに視線を向けた。

      「ならば流浪の騎士よ。君はどう考える?」
      「そう…ですね」

       僅かに口ごもったのは、言葉を急遽敬いの形に切り替えたからだ。ファリーツェは胸中に存在するほんの僅かしかない自信を奮い起こし口を開いた。

      「どの道、貴殿が仰られている戦術は訓練された兵だからこそ成り立つものです。冒険者に集団戦のノウハウなどありません。彼らには彼らの相応しい戦場があるでしょう」

       言うとファリーツェは地図の位置地点を横一線に指でなぞった。先ほどオレルスが指し示したより遥か北。現状の最前線とされる場所をさらに北上した地点だ。

      「一本化を狙うのならばこの区画が良いでしょう。少々範囲が広いので抜けられると厄介ですが、その為に兵士達に後ろを守らせます」
      「ふざけるな、貴様ら余所者を矢面に立たせ我々はその影に隠れていろというのか!」
      「後方援護は言葉の響きほど楽なものじゃない。前線の部隊は危なくなったら引けばいいが、後ろを守る者は最後まで倒れちゃならないんだ」
       
       『騎士の形をした冒険者風情が』兵士の目線はそう言っている。だがファリーツェとて実経験も無しに言っているわけではない。事実彼は先日の戦闘で撤退を援護する為最後まで残り、その結果離脱の機会を逃し遭難しかけたのだから。

      「何を知ったような口を」
      「もう止せ。騎士殿の言うとおりだ」

       上官に諌められ兵士はまたも口を閉ざした。悪い兵士ではないとファリーツェは思う。義を重んじる若く勇敢な兵士だ。それ故、将も彼をこの場に連れて来たのだろう。願わくば、その勇敢さを失わずに身を滅ぼさぬ術を身につけて欲しいと思う。

      「しかしな、流浪の騎士よ。一度放棄した区画を奪い返すのは簡単なことじゃない。それについては如何かな?」

       皆の視線がファリーツェに集まる。その言葉を期待しているのだ。

      (落ち着けよ、俺)

       ファリーツェは胸のうちで呟くと、ゆっくりと皆を見回す。そして口を開いた。



       ***



       その錬金術師の元へガンリューが訪れたのは翌朝の事だった。
       錬金術師はエトリアの状況にも差して気を止める事無く、同じような人間が営む酒場にて酒を煽る。
       名はヴァンドールという。彼は常日頃より昼から酒を飲むような事は無かったのだが今はそれしかする事も無い。そんな彼の元に“依頼”が舞い込んできたのだ。

      「くだらん話だ。何故俺に持って来る」
      「適任だからさ」
       
       ご丁寧に酒を注いでくれるガンリューに、ヴァンドールはさも滑稽だとばかりに笑う。  

      「何が適任だ。こんな仕事はわざわざ俺に金を積むまでもなく、義憤に駆られた馬鹿共に言えば金もかからんだろう」
      「そういった奴らは熱意はあるが、それだけに身の丈に合わない事まで背負いがちでね。それじゃ駄目なんだ。その点お前なら、値段分の働きが出来ない時には最初から逃げるだろう?」
      「…言ってくれるな」

       ヴァンドールの口元から笑みが消える。足を組みなおすと隻眼の男を鋭く睨み付けた。同じ視線で見られた者は大概消し炭になる事が多いのだが、それも場所と相手次第。事実ガンリューは未だ不敵な薄笑いのまま健在だ。

      「そこまで言うのなら俺を満足させるだけのものは用意しているんだろうな?」

       耳元を飛び回る羽虫と然程変わらない扱いでガンリューの相手をする錬金術師だが、それでも話に耳をかす気はあった。
       彼とてエトリアの街がこの状態では困るのだ。日銭を稼ぐ手段にも困らず税も軽く何より人目に付かない。ここでは彼のような流れ者は珍しくも無くその経歴や事情など気に留める不遜な輩もそうは居ない。そんな場所は何時までも存在してほしいものだ。
       そんな打算は内に秘めつつヴァンドールは提示された額面に眉一つ動かさず、鼻で笑いながら目を逸らした。

      「足りんな」
      「何だと?…それは随分欲張りな事だ」
      「金はいい。それよりも証書が欲しい」
      「証書だ?」

       怪訝に伺うガンリューに対しヴァンドールは酒を煽りつつ答える。

      「学院の永久登録証だ。特待生の」
      「なんだ、真面目に一からやりなおそうとでも?」
      「耄碌したか貴様。老いぼれるにはまだ早いだろうが」
      「冗談だよ。だがな…」

       ガンリューは苦虫を噛み潰したような顔で顎を摩る。
       ヴァンドールはつまり、何処に見せても通用する自身の経歴書が欲しいと言っているのだ。自身の前歴を覆い隠す為のそれを。しかしそれを渡すという事は同時に彼の身元の保証人になるという事でもある。

      「安心しろよ。キレイな紙はキレイなままでこそ価値があるんだぜ」
      「…解ったよ。交渉しよう。その代わり失敗は無い。解ってるな?」
      「貴様、誰に対し口を聞いている?」

       ヴァンドールは話がまとまったと見ると早々に席を立った。それさえ済めば、彼にはこの初老の男と同席を続ける理由は何一つ無いのだから。



       ***


       
       さらに翌日の夜明け前。薄暗くもやの立ち込める小道に複数の兵士達と冒険者が居た。何れも名うての者達だ。防衛の為の拠点を確保する為、これより彼らは樹海を駆ける。
       獣は夜明けと共に数を増やした。ならばその直前が一番手薄だろうと見越し夜明け前に精鋭達を3ルートに分け攻める流れとなった。そして後続隊で区画を確保するのだ。
       その先手、最難所と見られるルートの先陣を務めるのは、ロードという錬金術師率いるギルド『WORLD』だった。

      「しっかし珍しいな、リーダー。上からの依頼受けるなんてサ」

       若い剣士がリーダーの錬金術師を見上げた。しかし錬金術師は高らかに笑った。

      「上からの依頼?勘違いはいけないなメイスン。私は無力な大衆の祈りに答えたに過ぎないのだよ」

       腕組の体勢でロードは目を細める。

      「優秀たる者は常に蒙昧なる僕共の希望でなくてはならない。そして哀れな僕共に救いの手を差し伸べる責務がある。違うかね?」
      「…ま、要はやっつけりゃいいんだろ?なら構わないけどさ」

       なんとも不遜な物言いのこの錬金術師には様々な噂が耐えない。何処かの王族だとか、あるいは犯罪組織の長だとか(最も、後者の噂を公然と口にしようものならばその末路は知れているが)。
       自身を神だと公言する、あの男はイカれてると囁く者も決して少なくない。しかしその実力には誰しも口を挟む余地がなかった。
       と、ロードの傍らの女騎士が彼の袖をそっと引いた。そして後ろを指し示す。それだけでロードは悟ったかのように一歩を踏み出した。

      「さあ、行くぞ。我が愛する下僕達を脅かす獣どもに、怒りの鉄槌を下してくれようか!」

       悠然と一歩を踏み出す錬金術師。そして後ろに付き添う仲間たち。未明の戦いの開幕だった。
       薄闇の樹海が静寂に包まれていたのも僅かな間。ギルド『WORLD』と同じルートを行く一団の耳にすぐさま轟く雷鳴と獣の咆哮、そして気合の声が届く。戦士達は慌てて奇妙な錬金術師を追った。

       小さな火花はロードの掌中にて稲妻へと変化する。それは空を破裂させたかのような轟音と共に目の前の巨大な熊を炭へと変えた。
       ロードの傍らには常に女騎士ブラックモアが影の用に寄り添っている。獣の攻撃から彼を守る為…しかし決して彼の歩みを妨げたり放つ術式を遮る事の無いように。そして背後には剣士のメイスンと弓使いのタウンゼント。タウンゼントは機先を制し魔物の動きを乱しメイスンはロードが打ち漏らした魔物に止めを刺す。そうしながら彼らは一歩も足を止める事無く進んでいた。最後尾には治療師のプラントが少し遅れて付いてくる。緩く波打つ髪をふわふわ揺らしながら歩く彼女は、まるで肌寒さの中の散策を楽しんでいるようにも見える。だが一見ぼんやりとしたその瞳は、常に周囲を見据え先の行動を予測している事は皆が知っていた。

      「リーダー、来たぜ!」

       メイスンの声が指し示したのは一見何の変哲もない樹木だ。ロードは目を細める。

      「あれか、毒などを使う不埒な魔物とは。木炭にして七輪にブチ込んでやる」

       先ほどまで電気を帯びていたロードの手の平は僅か一挙動にて炎を生じさせ、紅蓮の津波を描きながら毒樹達を飲み込んだ。彼は錬金術の三系統を満遍なく操る。一分野を専攻し極めた術者には劣るとは言え彼の操る術式はどれも洗練されている。

      「七輪、スか?」
      「キャンプの食事は不味い。私は空腹なのだ。お腹をすかせた哀れな男の子なのだよ」

       炎の中から延びた腕をブラックモアが盾で受け止め切り捨てる。

      「さあ、先は長い。行くぞ」

       前方に見える獣の群れに真っ直ぐに向かうロード達。彼らが敵を切り崩しそこへ後続の部隊が突入し一気に殲滅をする。そうして彼ら一団は奥へと進んでいった。
       その彼らの前に再度魔物たちの障壁が立ちはだかる。ロードの高笑いが木々の間に木霊した。



       **



       一方、ギルド『WORLD』の出陣より数刻前。ヴァンドールは幾人かの兵士を引き連れ東へと向かっていた。
       彼がガンリューより受けた仕事は東の清水の確保だ。魔物の目を掻い潜り夜が明けぬ内に清水の湧出る岩場へと向かう。新たに構築される戦線と清水をつなぐラインを確保するのが目的だった。

      「目障りな事だ」

       ヴァンドールは舌打ちしつつ黒焦げの熊を蹴り飛ばす。そして後ろの兵に止めを刺しておけと吐き捨てる。兵士が見たところ既に魔物は炭になっているようにしか見えないが、それでも彼は言われたとおり剣で首を両断した。
       魔物の数は然程多くないとは言え単独で進むのはやはり厳しい。今は良いが複数同時に来られるとやはり苦戦する。おまけに彼が引き連れた兵士は全く戦力にならない。所詮彼らは清水の運び手として来たのだから仕方がないが。ヴァンドールは忌々しげに喉を鳴らした。
       そんな彼の耳に剣戟が聞こえる。

      (妙だな)

       この辺りに既に戦士は居ないはずだ。ヴァンドールは小走りに先へと向かう。宵闇の中、月明かりに反射した刀身の光がその存在を教えてくれた。
       魔物と一人対峙する姿があった。色鮮やかな異国の衣は遠目にも女のものと解る。最近よく見かけるようになった東国の剣士だろう。最早珍しいとも言えないがあの出で立ちが目立つ事には変わりない。
       ヴァンドールは薄く微笑んだ。これは良い所に通りかかったものだと。
       女は刀を器用に操り獣の爪を弾く。速度を落とさず踏み込み鋭い突きを繰り出すもののそれも致命打とはなり得なかったようだ。女が一度間合いを取った瞬間、ヴァンドールは好機と見てその場に出た。

      「そこの女、邪魔だ。退かんなら巻き込まれようが苦情は受け付けんぞ」

       女が振り返った。が、答えも待たずにヴァンドールは炎を放っていた。乱暴な救いの手に顔を引きつらせ退いた女。その前で火柱が立ち上がる。突然の事態に若干戸惑いつつも女は刀を鞘に納めた。

      「…ありがとうございます。助かりました」

       いくらか納得できない面持ちで女はヴァンドールに歩み寄る。そして深く頭を下げた。
       妙な女だとヴァンドールは思った。ひとつに化粧をしているのだ。無論、女の冒険者には(そして稀に男でも)探索に出る際も薄化粧をするものは珍しくない…身繕いするほど懐に余裕がある冒険者ならば。しかし目の前の女はこれから婚礼の式でも挙げるのかと思うほどめかし込んでいるのだ。場が場であれば美しいと見えるのかもしれないが、この場では、そして刀を握るその姿では異様さの方が大きい。身につけた着物にも紋が三つも入っているが、それが何を示すかヴァンドールの知るところではない。
       それに…。

      「貴様、こんな所で何をしている」
      「何、と申しますと?」

       もう一つ目の前の女剣士より感じる違和感。ヴァンドールは彼女の腰に下げた袋に目を落とした。

      「…荷を改めさせてもらおうか」

       女の表情が僅かに変わる。

      「それはどのような理由ですか?」
      「簡単な事だろうが。非常事態にこんな場所を女が一人うろつくなど、尋常な事じゃない」
      「……それは、別に」
      「俺たちは執政院の衛兵なんだぜ。貴様にそれを拒否する権限があるのか?」

       口からでまかせであるが、それでも女は眉根を寄せた。この場に居るのが見るからに悪人顔の錬金術師一人であれば「嘘を言うな」の一言で済んだかもしれない。しかし彼の後ろにはエトリアの正規兵達が身を小さくしてやり取りを見守っているのだ。
       女は渋々ながら袋をヴァンドールに差し出した。
       中は干した果実や強い香りの蜜がほとんど。しかしヴァンドールはそれではなく一際厳重に包まれた袋に目をつけた。
       ヴァンドールは一人ほくそ笑む。この女剣士に対するもう一つの違和感、それは異臭だった。袋からほんの僅かながら漂う刺激臭はありていに言えば排泄物のそれだ。樹海においてまで身綺麗にする女の放つ香ではない。その発生源である袋の中身はヴァンドールも予想が付いた。

      「ジャ香か」

       女の眉がぴくりと動いた。当たりだろう。乾燥させれば良質の香料として高音の付くジャ香も乾燥前は酷い異臭を放つのだ。

      「第四階層への立ち入りは禁じられているハズだな?破った冒険者がどうなるか知っているか?」

       いよいよ女の顔色が変わる。このジャ香、そして干からびた果実やこの強い香りの蜜…に見える酒…は第四階層でとれるものだ。

      「話が見えません。貴殿は何故これらのもので第四階層を連想されるのです?」

       常人であればこの切り返しに多少は頭を悩ませる事かも知れないが、ヴァンドールは違う。そもそも彼にしてみればこうして言葉を交わして“やっている”事さえ気紛れに過ぎないのだから。

      「貴様とくだらん言葉遊びをする気は無い。俺が何を知っていようが所詮状況証拠にすぎん」
      「それは…」

       女が口ごもる。それを映す血か炎かと見紛う瞳は、相手が怯んだ隙を決して見逃しはしなかった。威圧するように見下ろすとヴァンドールは不遜に笑う。

      「そんな顔するなよ。別にとって食おうってわけじゃないんだぜ」
      「…何をお望みですか」
      「物分りがいいな。何、ちょっとした慈善作業に協力させてやるだけだ。エトリアの為のな。ありがたいだろう?」
       
       露骨に訝しむ女だったが、ヴァンドールが文句あるかと言わんばかりに睨みつけると諦めたように肩を落とした。

      「知らなくても不便は無いだろうが、一応名前くらい聞いておいてやる」
      「…アイナギと申します」
      「そうか。それはそうと早速仕事だ」

       ヴァンドールが顎で指し示した先をアイナギと名乗った女剣士は見やる。闇の中に複数の瞳の輝きを認めアイナギの顔は剣士のそれとなる。
       
      「女、さっさと行け。援護はしてやる。いいか、一匹たりともあの薄汚い畜生を俺の元へ近づけるな。さもなくば貴様もろとも焼き殺す!」
      「そんなっ、殺生な!」
      「繰り返すが、全てはエトリアの為だ。間違っても俺の為ではない。死んでも忘れないように頭に叩き込んでおけ!」

       自分は名乗らないどころか相手を聞いた名で呼ぶ気も無いらしい。その瞳に押されるようにアイナギは走った。ある程度距離を詰めると腰を落とし間合いを計る。上半身に揺らぎは無く安定した姿勢で歩を進める。
       獣が大きく動くとアイナギはその流れに乗るよう一気に懐へ潜り込んだ。獣の爪を避けると同時に刀を振り下ろし、返す刀で次の一匹を斬り上げる。
       炎を錬成しながらヴァンドールは目を細めた。成り行きで手に入れた“道具”は思いのほか役立ちそうだと。やや余裕を持ってヴァンドールは炎を放つ。
       後には消し炭となった獣と、宵闇の空を照らすほどの炎に当てられ荒く呼吸をするアイナギの後姿。ヴァンドールは彼女の前まで来ると乱暴にその背中を押した。

      「さあ、先頭は貴様だ。行き先は清水の湧出る岩場。夜が明けたら面倒な事になる、さっさと歩け」
      「ううぅ…」
      「岩場まではまだ大分ある。たっぷり役立ててやるから感謝しろよ」

       恨みがましい女の視線を黙殺すると、ヴァンドールは悠然と女の後ろを歩き始めた。 

       ***

      「ふむ。こんなものですか」

       その頃、エンプティは自身の経営する宿にてギルドメンバーに頼み収拾させた素材を眺めていた。そして頭でざっと計算する。これだけあれば相当量の薬になるはずだ。
       今一般に出回っているネクタルに使用されるものより糖度が高い果実と栄養価の高い蜜の酒。収めればより高級な気付け薬となるはず。無論、無料で収める気は無い。とはいえ現状で金銭を要求するような無粋な真似もしない。

      「互いに幸せになりましょうか」

       エンプティは数秒を使って頭の中に文面をまとめると、羊皮紙に羽ペンを走らせる。収集品と共に仲間に届けさせるのだ。

      「それにしても」

       羽ペンにインクを染み込ませながらエンプティは零す。

      「アイナギは戻らず終いですか。本当に肝心な時には役に立ちませんね…。まあ、気色悪い泣き声上げながら野垂れ死んだのでなければ良いですが」



       ***



       一方、ロード達を先発隊とする一団は樹海を奥へと進んでいた。人の気配が遠のき闇の色が忍び寄る。若葉の緑も今は黒い。景色が変貌するにつれ人を拒む悪意もまた濃く淀む。

      「リーダー!新手だ。ちょっとヤバい!」
      「神の前で泣き言を言うものではないぞメイスン。そんな間があればひれ伏せ!そして救いを請い願え!」
      「そんな暇こそ無いって!」

       四方へと雷が放たれる。かと思えば目に焼きついた残光が消えぬ内に炎が地を這う。現状でこそ必要ないがその“神の手”は必要とあらば氷をも瞬時に発することだろう。
       周囲では別のギルドの冒険者が一人倒れる。プラントが駆け寄ったものの、既に彼女に出来るのはその見開かれた瞳を閉ざしてやる事だけだった。
       獣の数が想定より多い。ギルド『WORLD』に続く戦士たちも次々と倒れてゆく。神の手を持つ錬金術師の歩みも次第に遅れてゆく。

      「!!」

       ロードの前方を歩くブラックモアが突如走り出した。前方より複数の獣が出現したのだ。
       ロードは唇を噛んだ。既に別働隊は目的地へ到達しただろうか。いずれにしてもこのままでは以前と同じく各個撃破されて終わる。しかし現状のまま進むのは危険が多すぎる。第二波の到着を待つべきか?
       思考しながらもロードはそれを億尾にも出さず高笑いと共に次々と稲妻を放つ。タウンゼントとメイスンがそれぞれに獣を屠る。僅かに遅れて他のギルドの冒険者達も奮闘している。
       先行し立ち塞がったブラックモアの前に、彼女の身の丈の倍近くはあろうかという獣がその腕を振り下ろした。一撃を盾で防いだものの、その脇から次の獣が襲い掛かる。ブラックモアは剣でその爪を弾く。そして三匹目。次こそ、騎士に防ぐ手立ては無かった。

      「……!!」

       ブラックモアの顔が苦痛に歪み絶叫する形に口が開く。しかし彼女の喉から漏れる声は無い。
       彼女の喉は声を発する機能を失っているのだ。故にどれほどの苦痛の元にあっても悲鳴によって痛みを訴える事は無い。しかし彼女から流れる夥しい量の血液が声に変わりその状況を知らせてくれた。
       ロードの雷が一体の獣を打ち抜く。タウンゼントの矢もブラックモアを間に挟んだ上でも交戦中の相手を的確に射抜く。しかし殲滅速度を上回る速さで獣は現れ次々に騎士に襲い掛かる。
       豪腕に華奢な身体が吹き飛ばされる。しかしブラックモアは瞬時に立ち上がり主の元への進路を塞ぐよう立った。滴る蜜のような金の髪は赤く染まり銀の鎧も汚れ歪み砕けている。それでも彼女は立ち続けた。
       
      「退けよおっ!!」

       獣の肩越しに彼女を見るメイスンが叫ぶ。このままでは嬲り殺しだ。しかし助けに向かおうとも彼の前にもまた巨大な魔物が立ち塞がる。彼は裂帛の気合とともに剣を振り下ろす。しかし魔物は倒れない。
       ブラックモアはただ一心不乱にその盾と剣で凶暴なる侵略者を拒み続けた。自らに与えられた役目だけを見据えて。
       視界の半分を赤に染められながら、半ば感覚をなくした左手で盾を携えながら。瞳には映さないとしても背後の在る尊き存在だけを見つめて。
       アムリタを噛みながら、ロードはいよいよ決断を迫られている事を知った。そろそろ夜が明ける。更に状況は悪くなる。
       
      「ブラックモア、戻れ!」

       ロードは叫んだ。口にする事さえ屈辱的でありながらも彼は叫んだ。

      「一度下がって後続隊と合流する!援護する、その隙に退け!」

       しかし彼女は頭を振り乱す。自らが守る場所に固執するように一歩として退こうとはしない。まるでそこが自身の居場所であるかのように。そこに居続ける事が自身の意義であると叫ぶかのように。

      「ブラックモア!」

       ロードの呼びかけに一瞬振り返った騎士。血の滴る金髪の隙間、顔の半分ほどを血で染め上げながらも彼女は笑顔だった。騎士の誇りである盾も鎧も傷付けられ彼女自身もぼろぼろでありながら、その表情には微塵の苦痛も刻まれてはいなかった。
       その僅かな隙に獣が彼女の腹部めがけて腕を振り下ろす。彼女はよろめき血を吐く。それでも倒れはしない。再び地を踏む。そして盾を構える。
       その姿が、深紅と黄金が混ざり合う様は克明にロードの瞳に焼きついた。
       碧眼を見開きながらロードは僅かに顔を伏せる。その面が再度上げられた時、そこに刻まれて居たのは尊大な王者の笑みだった。
       
      「…いいだろう!」

       ロードは大声で応じた。言葉を持たない彼女が、彼女の知る唯一の方法で、言葉より明確に伝えた意思を受け入れるため。

      「リーダー!」
      「先刻も言ったぞメイスン!お前の果たすべき勤めを果たせ!先にはうちひしがれた哀れな人の子が山ほど居るんだぞ!」

       ロードの両手に炎が生み出される。白んだ空を夕焼け色に染め上げながら獣を焼き尽くす。その光に当てられながら騎士は盾と剣を持って魔物を食い止める。後退しない為に。神の進むべき道に帰路はない。
       ふとロードは上空から刺す光に目を細めた。自身が生み出す炎の光とも稲妻の轟きとも違うその光が示すものは。

      「…夜明けか!」

       これほど憎々しい夜明けはかつて無かっただろう。衣越しにさえ肌を刺すような冷気に混ざる温もりは決して安らぎなどは呼ばない。新たな獣の出現を予感させるだけだ。それでもロードはただその掌に炎を、あるいは稲妻を生み出し続ける。
       進むためにだ。そして勝利するために。
       メイスンが自身が対峙する獣をようやく切り伏せた。そしてブラックモアの下へと走る。ロードが放った稲妻を剣で絡め取り、彼は魔物の群れに斬り付ける。

      「これも差し上げるわ。残さず掬って頂戴!」

       ロードに続いて女の錬金術師が稲妻を放った。思わぬ支援にメイスンは驚いて振り返る。
       後発隊として出発したギルド『ライラック』のエキュームだ。無数の槍のように拡散し獣を撃つ稲妻を受けメイスンは再度追撃をかける。連続し剣を振り上げそして振り下ろす。電気を帯びた剣身は爆ぜる様な音とともに煌めき魔物を打ち倒す。
       さらにその背より複数の矢が放たれた。タウンゼントの放ったものだけではない。

      「ヒット!」
       
       自身の発した矢の行く末を見届けたギルド『SOL』のカーナが隣のエリアルに向けてVサインする。

      「やっと追いついた!うはっ、もう山ほど居るなー!」
      「夜が明けてしまいましたからね!」

       盾ごと獣に体当たりをかましながら、セイはその剣を振り上げた。
       『ライラック』も『SOL』も第二陣…第一陣が切り開いた区画を防衛する役目のもと出発した部隊だった。間一髪のところで合流したのだ。

      「ブラックモア!」

       目の前の獣が消え去ったと同時に血濡れの女騎士は崩れ落ちる。メイスンが差し出した腕にぐったりと倒れ込んだ。
       そこにロードも駆けつける。彼が名を呼べば女騎士はうっすらと瞳を開いた。

      「よくやった。私は無事だぞ」

       ロードの言葉にブラックモアは微笑んだ。そして口を開く。無論そこに言葉は無い。それでも彼女は何かを言葉にしようと口を動かした。
       ロードはその手をそっと握り締める。そして、まるで彼女の声…存在しないはずの言葉を聞き届けたかの様に頷いた。

      「さ、リーダー。治療します、退いて下さいませ」
      「ああ、頼んだぞ」

       遅れてやってきたプラントがブラックモアの傍らに跪く。彼女の表情にて大事ではない事を察し、ロードは立ち上がった。

      「行くぞメイスン。タウンゼント」
      「置いてって大丈夫かね?」
      「何を言うか。彼女はロードという名の錬金術師を守ったのではない。この戦いに勝利を齎す神を守ったのだよ。ここで私が責を放棄して何になる?」

       振り返るとブラックモアの脇にはもう一人治療師が付いていた。ギルド『アメフラシ』のナーサティアだ。

      「お手伝いしても、よろしいです?」
      「ありがとう」

       プラントが僅かに振り返り返事をした。ナーサティアは治療準備をするプラントに代わりブラックモアの歪んだ甲冑を外してゆく。
       それを背にロードは進む。
       まもなく目標地点。先には既に剣戟と怒号が響いている。別ルートを辿った戦士達が夜明けと共に出現した獣と交戦中なのだろう。

      「遅れを取っちまったな、リーダー」
      「主役は遅れてくるものだ。気にする事はない」

       風に吹かれるマフラーを邪魔そうに払いながらロードは足を速める。複数の戦士達が見えた。

      「さあ、行くぞ。神をも恐れぬ不届き者を滅しにな!」




       
        ***





       閉ざされた扉からは頑なな拒否を感じた。その周囲に張り巡らされる木の蔦は、脆く臆病な何かをそっと抱きしめているようだ。孤独と恐怖と寒さより守るように。
       無限と思えた回廊の終わりにそれはあった。幾度も折れ曲がり遠回りをさせられ繰り返し魔物に追われ。その先に待ち受けていたのは巨大な扉だった。
       既にロイ達は消耗しきっている。身は傷つき心は疲れ。ただ負わされた責に背を押されながら一歩を踏みしめた。その末に辿り着いたのだ。
       その硬質な扉に幻のような非現実味を覚えながら、ロイはそっと触れた。ただ冷たかった。

      「やってみろ」
      「…うん」

       リュカはロイに金属片を差し出した。そして扉の傍らにある奇妙な機械に目をむける。あの上下する不思議な部屋に付いた機械とは少し異なり不自然な溝がある。
       ついに“鍵”を使う時が来たのだ。ロイは受け取った金属片を指で挟み、そっと溝に近付ける。

      「その扉の先へ進む前に、我が話を聞け」

       弾かれた様にロイは振り返った。皆も同様だ。薄闇の中より聞こえし声を追うように現れたのは、誰でもない。エトリア執政院長ヴィズルの姿だ。…この場では、世界樹の王と称した方が正しいのかもしれないが。
       纏った外套が闇に溶け合いその姿はまるで亡霊のように見えた。ヴィズルは凍りついたままのロイを眺め微かに笑う。

      「あれは、死んだのか」

       ヴィズルの視線はロイの手にした金属片に向けられていた。
       驚愕に心を支配されたまま口を開きかけたロイをリュカが止めた。

      「流石に貴様が蒔いた種の末路くらいは気になるのか?」
      「心外だな。我とて彼女らには悪い事をしたと思っているのだよ」
      「悪い事…だと?」

       リュカが嫌悪も露に繰り返すと、ヴィズルは喉の奥を鳴らした。

      「可笑しいかね。我が罪過を悔いるのは?僅かとはいえ人並みの感傷を持たぬわけではない」
      「…いや。貴様の耄碌ぶりがよく伺える。長く生き過ぎたな」

       険しい面持ちのままリュカは低く呟いた。ヴィズルは怪訝に彼を見つめたものの、すぐさま視線を扉に移す。その瞳は冷酷な王のものではなく郷愁に更ける老人のようだった。

      「何れにせよ君たちはここまで辿り着いた。立派な事だ」
      「祝して下さるのですか」
      「当然だ。君たちは我が執政院の触れのままに世界樹の迷宮を踏破したのだから。共に帰り祝杯を挙げよう。エトリアを襲う魔物たちもやがて去る事だろう」

       カップを掲げるようなポーズをとりながらヴィズルは言った。テアがぴくりと震え隣に居るロイにもそれが解った。
       ヴィズルの物言いが示すのは、エトリアの命運すら自らがの手中にあり、そしてその手が開かれるか否かはロイ達の判断次第だと言っているのだ。ギルド『SOL』の三人の背中が蘇る。自分達にエトリアの命運を託すと言い戦地へ向かった彼らは、果たして無事なのだろうか。そんな思いに若干心を揺さぶられながらもロイはやはり首を振った。

      「踏破ですって?何を言っているんですか。僕達はまだ何も解っていません。この迷宮の事も世界樹の事も」
       
       怒声交じりの叫びは広間の天井にぶつかり響く。その反響が収まらぬ間にヴィズルは皮肉に口元を歪めた。

      「いにしえより続く樹海の秘密…既に誰も知らぬ世界の謎、貴君らの興味はそこにあるというのかね」
      「その通りです」
      「それを知って何になる?」
      「解りませんか?」

       一時は取り込まれかけた恐怖を冠する触手も既に消え去っていた。ロイは正面からヴィズルを見据える。

      「解らんな」
      「全てはそれが元凶なのでしょう!?モリビトも!レンとツスクルも!僕達だって!!その秘密に振り回された僕達には知る権利があるはずだ」

       モリビト。その名にヴィズルはくくっと喉を鳴らす。

      「あれならば気にする事は無い。所詮仮初めの命。人を模し造られたものに過ぎん」
      「なにを言ってるんですか!人と違ったって、彼女らは生きていた!!」
      「君たちは人工のゴーレムを人と同じく扱うのかね?それと同じ事。笑おうが嘆こうが“そう出来ているから”でしかない。喜怒哀楽などではない、所詮プログラム上の処理にすぎん」

       ロイは言葉を失った。ヴィズルの言葉の最後こそ意味が解らなかったが、彼の言葉の凡そは理解できた。しかし、だからといって頷けるものではない。

      「上手く機能しないゴーレムを錬金術師が処分する…君達がした事はそれだけの事だ。背負う罪過などありはしないのだ」
      「でも彼らには心があったわ!新しい物に希望を見て、訪れた恐怖に悲観していた。好奇心に身を焦がして未来を追い求めていた」

       ロイの隣でテアが思わず声を上げた。自身が見つめてきた者に対するあまりにも冷酷な評価は、彼女にとって耐え難いものだった。

      「そう見えるだけだ。ただ出来の良い人工知能のようなものだ」
      「違うわ!」

       髪を振り乱しながらテアは必死に否定する。しかしヴィズルが心を動かす様子は欠片も見られなかった。

      「成る程。納得できぬか。それでも真実を求めると言うのならばこの扉をくぐり来るがいい。」

       ヴィズルは扉に手を当てゆっくりと撫でる。そして振り返りぞっとするような酷薄な笑みで自身に集う視線を跳ね付けた。

      「しかし、それには代償がいるがな」
      「代償ですって?」
      「当然だ。我もまたこの秘密を守り続ける事に多くを費やしてきた。それを明かすのならば貴君らにもそれなりの対価を求めたい」

       扉に向き合ったヴィズルは僅かに振り返り目を細める。ロイは未だ怒りの冷め遣らぬ面持ちでそれを見つめる。

      「来るならば覚悟せよ。貴君らの命とひきかえに…この迷宮の本当の姿を教えよう」

       ロイは軽く唇を噛んだ。どうあっても秘密を暴かせる心積もりは無いらしい。五人の視線をまるで気にしないかのようにヴィズルは金属片を溝に通す。硬く閉ざされた鉄の扉はあっさりと開かれた。そして主を迎え入れる。
       低い音を立てて再び扉は閉ざされた。 

      「何してんだよ。さっさと開けろよ」

       “どうするか”ロイが問う前にヴィルジールが言い捨てた。心底胸糞悪いと言った面持ちで。

      「いいの。脅しじゃないよ、きっと」
      「元より選択肢なんかあるかよ」
      「でも、エトリアは…」

       ヴィズルが目の前より消え、いくらか冷静さを取り戻したロイはテアとアルステーデを省みる。彼女らはロイ達とは違うのだ。エトリアこそが彼女達の帰るべき場所であり大切な人もそこに居る。

      「それで終わらせる気が無いからここまで来たんでしょ。タイトロープなんて今更よ」
      「…行こう。自分と、多くの人を傷つけても求めたものを、私達は手に入れなきゃ」

       テアがそっとロイの手に触れた。ロイも頷く。
       ヴィズルと同じようロイは金属片を溝へとあてがった。太古の昔にはこのようにして大勢の人間がここを潜ったのだろうか。彼らは何処へ行き何を夢描いたのだろうか。
       きっとこの滅びの様では無いはずだ。そして遥か未来に生きる人々に血を流させる為でもないはずだ。
       驚くほどスムーズに金属片は溝を潜る。そして頑健なる扉は音も無く開かれた。
       

       部屋を多い尽くすのは無限の数の色彩を持つ花。そしてその中心にそびえる巨大な大樹。
       張り巡らされた枝と天をも貫く幹、それはあたかもこの塔を…否、迷宮の全てを支えそびえる柱のようだった。










      キャンプでの大合奏は枯レ森の曲を脳内再生していただければ幸いです
      もう少し言うならここの枯レ森アレンジの「種族存亡の戦い」を…某彼岸花の騎士の親御さん勝手にごめんなさいね!(でもこのアレンジ聞かなかったら私は最後まで枯れ森曲の良さを解らず終いだったと思います)
      一応企画はこれにて一段落です。最終話でもちらちら出せれば良いなあとは思っていますが、偏ってしまうと思います(実は今回の話は、ほんの僅かな登場含めれば全PLさんのキャラに触れてます!)
      メインキャラが登場多めで他が僅かな登場の方から、メインもサブもほどほどに出た方と
      PC単位では結構偏りありますが、PLさん単位では出来るだけ偏らないように出来たかなあと思うのですが…どうかなあ
      力不足ゆえ期待はずれがありましたら本当に申し訳ないのですが、皆様ご参加頂きありがとうございました。
      私はキャラ設定作りが本当に苦手なので皆様のPC設定を沢山拝見できまして、表現させていただくお許しを得られましてとても楽しかったです。

      以下コメントは今回メインで登場の方々のみで失礼します。


      sai様/ヴァンドール
      結構調子にのっていろいろ言わせてしまいました
      調子に乗りすぎて削除した台詞もぽつぽつあったりしますが、
      やりすぎてなければよいなあと思います。ドSで攻撃的で打算的と楽しすぎましたよ!
      精一杯かっこよく書いたつもりなのですが、純粋に鬼畜Cool!なキャラってなかなかうまく書けないので良い修行になりました。
      ちなみに散々虐げてるブシドーのアイナギは八塚氏にことわり済み、
      かつ元々はブラウザゲー等で使っていた私の持ちキャラなので御心配は要りません(笑)

      よあ様/赤毛の剣士、詩人
      剣士はまだLV1って事で、本編のようにはっちゃけるわけにも行かず、
      でも控えめにするとキャラ違うよみたいなジレンマでちょっと苦戦しました!
      狩人はレンジャーとしては1LVでも狩人としてはエキスパートなので
      玄人っぷりが出せるとしても、彼は肉屋なので…(肉屋エキスパート?)
      一方詩人は、合奏のシーンは募集前から予定していたものの、バードのエントリーが彼だけだったのですよ!
      でも詩人の設定にかなり助けていただいたお陰で、考えていたよりずっとシーンが良くなったと…自分では思ってます

      八塚様/アイナギ、エンプティ
      久しぶりにアイナギ書きました。虐げられっぱなしなのがアイナギらしいと思います。
      半分は自分のキャラなんであまりコメント無いんですが、
      さておき23話で言ってたエンプティの「お使い」は第四階層での密漁でございました(笑)
      茄子の買出しだけではなくてよ!
      あの後密漁品収めに行くついでに、施薬院お墨付き宿屋認定をもらったという事で。
      ほら、名医のもとへ遠くの国より訪れる金持ちがいたら、ぜひ宿泊は当店をご推薦下さい、みたいな。
      ちなみに密漁品は「まだ立ち入り禁止してないときにとったんだもーん」でOKです。

      夕焼け空様/ロード、メイスン、ブラックモア、タウンゼント、プラント
      精鋭部隊として活躍していただきました。
      こちらのケミ様も楽しすぎてやりすぎないよう自重が必要でしたw
      茶目っ気が面白くてバランスが偏ってしまったかもしれません。
      いわゆる尊大な“オーラ”が出せれば良かったのですが…。
      メイスンが緩衝材役として意外と目立ってしまいました。
      メイスン他、ロードを「リーダー」と呼んでますが、別の呼び方がよかったりしましたら、仰ってくださいな。


      本当はもう少し『アセンブリッジ』の話を進める予定だったのですが、企画の方をガンガン書いてしまいました。
      次回で収まるのか少し不安になりつつも、さて、次でいよいよラストです。
      そしてラストに当たって今更ながら一つ結構なミスをしてしまった事に気づいた私です。(まあ気付いてないミスは山ほどあると思うのですが)
      ストーリー的な話ではなくてあくまでキャラ表現レベルの話なので問題無いと言うか差して気に留める話でもないのかもしれませんが、
      もし次の話を見て「ヴィズルの行動ってちょっと男とか親としてどうなの?」とか思う部分がありましたら
      それはきっと私の構成ミスです。が!あえてヴィズルがダメ男としても楽しいかもしれませんね!


      目次へ戻る
      TOPへ戻る
      | リプレイ小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by ゆの字 -
      スポンサーサイト 14:27
      0
        | - | - | - | posted by スポンサードリンク -
        Comment








        Trackback
        この記事のトラックバックURL: トラックバック機能は終了しました。
        << NEW | TOP | OLD>>