Epic Theft世界樹の迷宮メインの二次創作とか語りなブログ。
旧世界樹のめいろですが別に中身なにひとつかわってません。
絵とか小説とかあるよ。CATEGORIESからどうぞ。
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公式とは全く関係ありません

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    【小説】最終話:希望 17:10
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       一面の花園は教会の壁画で表現される天界の様子にも似ていた。その中心にそびえる大樹はさながら神の偶像だろうか。花々は大樹を彩るよう咲き誇り暖めるよう葉を這わす。
       最後の扉を潜ったロイ達はその柔らかく瑞々しい生命の絨毯を踏みしめながらある種の違和感を覚えた。何せその足裏はもう長いこと冷たく平らな石床に触れ続けてきたのだ。それがここでは、くるぶし辺りまでも柔らかい緑の葉に埋もれてしまう。長毛の絨毯を踏んだ時の感覚にも似ていた。
       むせ返るような甘い芳香の中、一筋妙な匂いがロイの鼻をくすぐる。何かを燻すような匂いだ。少し歩くと大樹の根元より細い煙が立ち昇っているのが見えた。二輪の花が置かれておりその傍らでは香木が燃え燻っている。
       眉を潜めつつロイは振り返る。近くに居たヴィルジールは解らないというように肩を竦めた。
       次にロイはやや離れた位置で香木の燃える様を見守っていたヴィズルの姿を見つけた。

      「何ですか、これは?」

       ロイの問い掛けにも相手は何ら反応を示さない。返事が来るまでは聞こえて居ないのかとも思った。

      「弔いだ」
      「弔い…ですか?」
       鸚鵡返したロイにヴィズルは苦く笑う。低く響く声で。どこか自嘲しているようにも見えた。

      「妻の故郷の風習でな。実は我にも良く解らんのだ。細い香のようなものに火を灯していたのだが、どうも違うようだ」
      「奥様がいらっしゃったんですか」
      「居た。娘もな。だが死んだ。…いや、死んだとは正確ではないか」

       ヴィズルはそびえる大樹を見上げた。慈しむ様な瞳で。ロイはその様にしばしかけるべき言葉を失った。
       
      「世界樹が誕生した時に?」

       変わって問うたのはアルステーデだ。しばし花園に腰をおろし見たこともない美しい花に触れていた彼女。
       エトリア出身のアルステーデはヴィズルの事を彼が今の地位に付く以前より知っていたが、それでも妻子が居たなどという話は一度も聞いた事がなかった。

      「似ているが少し違うな。確かに妻の肉体の死は世界樹の誕生に起因するやもしれぬ。だが我が妻はこの世界樹を新たな器とすることで今も生き続けている」
      「え…?」

       アルステーデは絶句する。相手の言葉をどう捉えれば良いのか即座には計りかねたのだ。

      「貴君等には理解出来まい。しかしかつてこの滅びた都市こそが人の生きる世界だった頃、人は様々な“力”を持っていた。今を生きる貴君らには及びもつかぬ程のものだ。君の操る術式などより遥かに素早く、そして高温の炎を生み出す事も可能だった。なんの素養も無い子供ですらな」

       ヴィズルは嘲るようにリュカを見据えた。リュカは軽く唇を結び相手を睨み返す。

      「母体を介さず生命を生み出す技術すらあった。最も実用化されたのは旧文明が滅びた後だったがね」

       『それはモリビトの事を指しているか』ロイはそう問おうとした。あの不可思議な亜人を、ヴィズルは人を模して造った仮初めの命でありゴーレムと同じだと言ったのだ。しかしそれより前にアルステーデの問い掛けが続く。

      「ここは人の街だったの?」
      「然様。以前貴君等は言ったな。古の時代、人間は聖地の所有権を主張し『モリビト』と争ったのだと。彼らの主張は正しかったのだよ。所詮、樹海の防衛機能の一端に過ぎん『モリビト』が聖地の所有者であるなどと、甚だおこがましい」
      「そう造ったのは貴方なんでしょう!?そんな身勝手な言い方って!!」
      「何れにせよ、何時かは処分せねばならぬ存在だ。人がかつての地上に戻る為には。その大役を貴君等五人に負わせた事は詫びよう。だが、我とて元よりそのつもりだったわけではない。それを望んだのは貴君等自身だろう。まさか何の覚悟もせず赴いたわけではあるまい」
      「あんな形で貴方達に裏切られる覚悟なんか、これっぽっちも無かったわ!」

       結果的に『モリビト』と争う事になる…その覚悟は勿論あった。だが双方とも望まぬままに、憎むべき相手を違えたまま剣を交え傷付けあう覚悟などは無かった。
       それがましてや、自分に近しい者達の謀でだなんて。
       アルステーデの叫びが壁に反響し繰り返される。それが消えた後、ほんの僅かな間周囲から音が消えた。

      「…最初の問いの続きを答えようか」

       しばしの無言の後、ヴィズルはアルステーデより目を背ける。

      「…そして…命の無いものに命を付与する事さえ可能だったのだ。実質的には“命”ではないが。脳の信号を特殊な言語に変換し…そうだな、人の“意思”や“記憶”を記録し、人の脳と同じ働きをする“装置”を世界樹と連動させる。そういえば君達にも理解できるかね」

       再び連ねられたのはロイ達にとっては理解の範囲を超越した言葉の群れ。
       言葉を理解する事は容易くとも、その意味を理解する事も同等とは限らない。現にロイは淀みなく綴られるヴィズルの言葉がまるで異国の言葉であるように聞こえていた。
       世界樹に命を付与する。そんな事が可能なのかという疑問と驚きもある。しかしそれ以上にそんな狂気を実行する事に理解が及ばなかった。

      「それが『世界樹の意思』の正体か」
      「同時に我が最愛の妻でもある」

       リュカの問い掛けを肯定するようにヴィズルは頷いた。そして乾いた樹皮の張り出す大樹を見上げた。不気味なほど優しく暖かい瞳で。
       両者は平然と言葉を交し合っていたが、ロイは背筋を這い回る嫌悪感に身震いした。耳に入る言葉はまるで流れ込む冷水のようだ。不気味な感触と共にその冷やかさは直接自身の感覚に訴えてくる。

      「どうしてそんな事を!」

       戦慄を覚えたロイは衝動のままに叫んでいた。薄気味悪い樹木を妻と言い放ち愛でる姿に…では無い。人の脳を植物に植えつける(ロイはそう解釈した)等とは常人の発想ではない。それも、誰であろう自分の愛する人をだ。

      「こんな姿になって!哀れには思わないんですか!!」
      「思うよ。故に我も人ならざるものとして生きる道を選んだ。我が望みと妻がその身を犠牲にしても為し得ねばならなかった、その未来を見届ける為に」
        
       その言葉にロイは口を閉ざした。自身がついに、核心の収められた箱その蓋に手を触れたことを知ったのだ。

      「そうまでしてこの世界樹を作り出した、その理由はなに!?」

       獲物を狙う時と同じ瞳のアルステーデ。彼女の声はよく響いた。そして大樹に無理に押し上げられ歪なドーム状となった天井に溶け入る。
       ヴィズルは嘆息と共に立ち上がると、自身が弔いだと表現した花束と香木の元へと歩み寄った。そして香木の火を揉み消す。続いて花に落ちた灰をそっと払いのけた。

      「人はかつて素晴らしい技術を手にしていた。しかしそれは今失われている。それは何故かと疑問には思わんかね?」

       ロイ達は答えない。だが誰もが胸の内ではその言葉を肯定した。

      「…人は自らそれを投げ捨てたのではない、そうせねばならなかったのだ。自身の行為の酬いとしてな」

       ヴィズルの視線が世界樹を離れロイに向く。数千年もの時を移し続けたその瞳は鈍くも確かな光を秘め、それがロイ達五人の瞳と順に交わっていく。
       最後の選択なのだと、ロイは思った。

      「…続けてください」
      「扉の前の言葉を忘れてはいまいな?」
      「ええ。貴方にそれが可能ならば」

       のどの奥から掠れたような笑いが漏れた。ヴィズルは再び大樹を見上げる。遠き日々をその瞳に移しているのだろう、望郷の念は創世主を一人の老人へと変貌させた。しかしその口から紡がれたのは懐かしき幸福の日々ではない、ただ忌まわしい人の罪科だった。

       ヴィズルの口より語られた旧文明の有様。まるで魔法の世界のようなそれにロイはしばし状況を忘れ胸の高揚を覚えた。
       しかしそれも最初、話の全体を見れば序章にも過ぎないたった僅かな間の事だった。その後ヴィズルの口より語られたのは、ただ空しく、寂しく、無残な前人類の末路だった。
       この『石の大樹』を、その連なる世界を、そして思えばこの迷宮そのものさえを作り出した人の技術。しかしそれは決して恩恵のみを与えたものでは無かったのだと言う。
       人は飢えや病から逃れる様々な術を知った。長く生きる術を知り、娯楽に溢れ満ち足りた日々を暮らす術を知った。しかし自身の足元が今にも崩落の危機を迎えている事にはおそよ無関心だったのだという。その日を迎えるまでは。
       人は豊かさの代償とし世界を失った。緑の木々は枯れ果て豊饒の大地は乾き清らかな水は毒へと変わった。
       人が自身の罪科に気づいた時には既に遅かった。疫病は蔓延し作物も育たぬ大地で人々は飢えた。渇きを癒す為口にする水、果てや吸い込む空気にすらその身を蝕まれるのだ。人を始めとした地上の生物は滅びを待つより他は無いと思われた。
       その中で、潰えぬ希望を抱き続けた者達がいたのだ。
       再び穢れない大地を取り戻す。世界を生命の溢れる場所へと再生する…絶望を冠する濁流に身を揺さぶられながらも、その淵にしがみついた人間たちの夢の集大成がこの世界樹なのだという。

      「しかし皮肉なものだ。人の叡智の集大成は、人の叡智を破壊する事を望んだのだよ。今思えば当然の成り行きとも考えられるがね」

       昔語りを終えたヴィズルは反応を伺う様にロイ達五人に順に視線を向けた。が、その期待に応じられた者は誰も居ない。
       途方も無い昔の物語はあまりに現実味が無いものなのだから。それこそ、幼い頃に聞かされた絵本の世界のばかげた出来事と何が違うのかとも思う。
       しかしそれは紛れも無い真実なのだ。これまでロイ達の見届けてきた全てのものの延長線、それがまさにこの瞬間交差したのだ。

      「では…僕達の今生きる世界は…」
      「地表を覆い尽くした樹海の上に誕生した新たな大地という事になる。そしてこの迷宮は、いわばその綻びだ。解るかね?“世界樹の迷宮”とは病に侵された地表を隠し暖める毛布、そこに出来た小さな穴なのだよ」
      「貴方が作り出したのはこの世界樹でも迷宮でもなく、今の世界そのものだと言うのですか?」
      「正しくは“我等”だがね。いや、しかし、感謝を述べたり敬意を払う必要などない。古き世界を破壊したのもまた、我等なのだから」

       諧謔を弄しながらヴィズルが振り向く。同時に重い外套がゆったりと翻る。その合間に見えるは創世主の姿なのだ。
       紛れも無いこの世界を作った神の。

      「解ったかね。この世界樹の存在理由が。そして何ゆえに迷宮が…最奥に眠る古き文明が明かされてはならぬのか、が」

       ロイには何も言えなかった。目の前の男の言葉を、その行為を否定する事が出来なかった。
       目の前を塞ぐものはあまりに巨大でありその前の自分はあまりに脆弱だった。
       今生きる人々より遥かに賢明だった人類が犯した過ち、その上に自分達は土足で踏み入ろうとしているのだ。
       得体の知れない不安が全身を侵す。全ての悲劇を終わらせるための旅路を踏んだ筈の自分は今、禁忌に触れ取り返しの付かない災厄を招かんとしているのだ。
       だがそれでもヴィズルの言を、動を肯定する事は拒否された。それはただの感情か意地に過ぎないのかもしれない。それでもだ。

      「全てはその為に仕方ない事だと言うの?」

       何の音も無かった部屋に震えた声が細々と漂った。ヴィズルの視線がテアに向く。

      「モリビトの事も、エトリアの事も…世界の為だから仕方が無いの?」
      「我とて悪鬼では無い。出来るのならば犠牲など無くとも事を成し遂げたかった。だが我も所詮人に過ぎんのだ」

       戸惑うロイの斜め後方でヴィルジールが舌打ちした。

      「都合のいい時だけニンゲンぶりやがって」

       独りごつつもりの言葉にヴィズルは顔を上げた。ヴィルジールは受けて立たんとばかりに睨み返す。

      「そもそもお前の発想事態、その前時代とやらと何ら変わっちゃ無ぇだろうが。事を成し遂げた為の犠牲ってヤツのせいで、こんな薄気味悪い大木作る事になったんじゃねえのかよ!」
      「それは詭弁だよ」
      「じゃあ聞かせろよ。お前が考える、この先にある人の未来って奴をよ」
      「残念ながら、それが見えぬのだ。だからこそ今はまだこの世界樹と、それを覆い隠す迷宮が必要なのだ」
      「それこそ詭弁だろ!!」
      「貴方は!」

       感情のままのヴィルジールの叫びに被さるように、テアが再度ヴィズルに呼びかけた。両者の視線が再び少女に向く。

      「貴方は、エトリアを見てどう思ったの?今の大きなエトリアの街じゃない。私が生まれるずっとずっと前の、小さなエトリアを」
      「昔のエトリアかね?」
      「知っているんでしょう?世界樹と共に世界を見ていたなら、この辺境にほんの僅かな人たちが集って、小さな小さな集落が出来た…その瞬間だって見ていたんでしょう?」
      「そんな話が聞きたいのかね」

       部屋を周回するようにゆっくりと歩を進めながらヴィズルは再び遠い時にその心を旅立たせる。とは言え数千年を生きた彼の中ではそれもついこの間の出来事に過ぎないのかもしれない。

      「忘れもせんよ。我が人の再興を目にした瞬間だったのだから。人の多くは死に絶え、残る人類も彼方安住の地へ去り我の前より消えた。長き時間、我に出来たのは生き延びた人々が生まれ変わる世界にて存続している事を祈るだけだったのだ」

       多くを失ったその対価を待つ時間とは、どれほど長いものだったのだろうか。
       人の未来を願ったが故に犠牲になった数多の生命。叶ったかも解らないその結実を待ち焦がれる思いなど、ロイには到底想像できるものではなかった。

      「そんな時だったよ。生い茂る緑のほか何も無い広野に人が集い街を築いたのは。大地は未だ穢れたまま。しかし人は確かに生きていたのだ」 
      「でも、今貴方は、その人たちを殺そうとしている。何故?」

       ヴィズルの瞳に移る緑の情景はみるみる消えうせ、再び石壁の空間へと戻った。穏やかであったその面持ちが険を帯びる。その移り変わりが何処か悲しくもあった。

      「既に答えた。感情ではどうにもならぬ事もあるのだ」
      「そんな事無い。私達だって貴方と同じ未来を願ってるはずだわ。なのにどうして、再び過ちが訪れるだなんて思うの?」
      「見てきたからだ。かつての人と、今を生きるの人間と。寸分の違いも無い事を」
      「何故それを知っている貴方はただ口を閉ざしているの?分かり合おうとしないの?」
      「残念ながら世の中には君の様な者ばかりではない。時に愚かで時に弱く時に悪しき者達が数多くいるのだよ」

       重い囁きと共に向けられたヴィズルの視線はこれまでとは違う様相を放っていた。ロイは思わずテアの肩を掴み自身の傍らへと寄せる。

      「…話は、ここまでだ」
       
       雷鳴のような低き轟きは肌を刺すような棘を潜めていた。

      「世界樹の秘密…貴君等はそれを手に入れた。そして自身の犯そうとする大罪にも気付いたハズだ」
      「…僕達は、罪人になどなりません」
      「そうかね。我は貴君らを裁かねばならんと思っているよ。取り返しのつかぬ事になる前に」
      「ならば、抵抗します」

       ロイは剣を握った。
       聡明であった前人類にはまるで及ばない自分達にも一つ知る事がある。
       それは聡明であった人々が辿った末路だ。それが賢明な“彼ら”が知らなかった事で、自分達が知っている唯一の事。
       描かれた地図の分岐、その片方に凶悪な獣の牙がある事を知った時はどうすればよいか?そんな事は駆け出しの冒険者でも解る。
       テアの前に立ちはだかるよう一歩を踏み出し、ロイはその気配を背に感じながら感謝した。こうして剣を握る決断と先の道を見据える勇気をくれた彼女に。
       細剣が鞘走る静かな金属音が聞こえる。弦がしなる音がなる。ガントレットの発光に頬が赤く染められる。細い指先が肩から離れる。
       彼らの目の前で大樹の抱いた枝が、生い茂る葉が、ざわめきはじめる。ささやかなそよ風より始まったと思えた揺れは、徐々に暴風に晒されたように大きく撓り枝同士が絡み始めそれぞれが意思を持つかのように蠢きはじめる。

      「そうか」

       ヴィズルが微笑んだ。それを合図にするかのように、硬質な筈の枝がまるでやわらかなツルのように伸び幾千もの時を生きた老人の身体を包み込んだ。
       驚愕するロイ達の前でヴィズルの身体が空中に持ち上げられる。巨大な樹はその小さな人を包み込み引き寄せる。ヴィズルもまた穏やかな表情でそれを受け入れた。暖かな腕に抱きしめられているように。
       ロイ達の前には世界樹、その王。この大地に高く高くそびえ支える巨大な樹。そしてその中ほどに埋まるように鎮座した創世主の姿。
       人の未来を定めるのは、神か。あるいは人自身か。
       それが、これより決定されるのだ。



       **



       大樹の上部へ向け滝を登るよう矢が飛ぶ。それを追うようにロイとヴィルジールが走る。
       王を傷つける敵を捉え串刺しにせんと枝が伸びる。ロイがそれを盾で弾くと、後方から身を乗り出したヴィルジールが残りの枝を払いのける。さらにロイが前に進み出る。
       目指すは創世主の下。
       しかしそれはあまりに遠かった。
       ロイの真横で張り出した枝が爆発と共に弾け飛ぶ。少し振り返ると近くにリュカの姿があった。さらに後方では迫る枝を杖で払いのけるテアと、それに守られるよう矢をつがえるアルステーデが居る。
       アルステーデが矢を放った。空を切る矢はヴィルジールの脇をすり抜けヴィズルの肩に突き刺さる。
       それを見届けヴィルジールは一つ吼え、不安定な足場を蹴り上げると無理矢理に創世主の前に飛び上がった。追打ちをかけるつもりだ。

      「!?」

       が、ヴィルジールの刃がヴィズルの眉間を貫くその直前、図太い枝が何本も張り出しヴィズルの身を覆ったのだ。鎖のように連なる枝は人の刃から、その視線から主の姿を隠す。
       同時に大樹の根がうごめき始めた。始めはさざなみのように静かに、そして徐々に渦潮のように激しい動きとなり地に立つものを引き摺り飲み込まんと腕を伸ばす。
       
      「ロイ、来てっ!」

       渦巻く根に足を取られたテアを支えながら、アルステーデが叫ぶ。ヴィズルの目前まで迫りながらもロイは一度後退する。
       地面に盾を突き立てるよう構え二人を守る。自身も足を取られそうになりながらも踏み堪える。
       数多のごつごつした根が自身を掠め、頬やわき腹など防備の薄い部分を傷つけてゆく。その小刻みに来る痛みにロイは小さく呻いた。

      「退け。そのまま蒸し焼きにしてやる」

       幹の上からリュカが術式を放った。巨大な炎の塊が幹を伝うように昇り堅固な防壁を飲み込む。直前に飛び降りたヴィルジールが非難の声を上げた。
       木々の防壁は簡単に焼け落ちはしなかったが、内部からは苦痛の叫びが聞こえた。やがて防壁は開かれる。
       そこにある主の姿は健在だった。それどころかアルステーデに射抜かれた傷も消えている。炎による負傷は残っていたが、それもロイ達の見る間に癒えてゆく。

      「伊達に長く生きちゃいねえな」

       ぼやくヴィルジールの足元で再び根が揺れ動き始める。
       避けるように幹に飛び乗り再度ヴィズルに迫る。蔦の刃を剣が払いその合間を縫うように矢が飛ぶ。炎が立ち上がる。
       再び枝が主を覆う。そして根が揺れ動く。そして…。
       
       ただ終りなき時間を繰り返しているような気にさえ、なっていった。

       
       *


      「未だ気付かんかね」

       大樹に半身を埋もれさせて始めてヴィズルが口を開いた。
       ロイは視線を上げた。腫れた瞼に視界が狭い。唇に流れた液体からは鉄の味がする。
       少し前を行くヴィルジールも上着を血で染めている。リュカはガントレットを嵌めた腕をもう片腕で支えるよう持ち上げながら術式を放っている。

      「『世界樹』はこの大地を再生する為に作られたのだ。旧文明の人類が刻み付けた傷すら再生する力の前に、貴君らの持つ剣にどれほどの意味があるのかね?」

       ロイは刃の欠けたその剣を見つめた。引き換えヴィズルの身にはかすり傷一つ無い。一太刀とて浴びせずにいるわけではない。しかしどれほどの傷を与えようとも致命打となる前に枝の防壁に阻まれ相手の傷は癒えてしまう。

      「諦めろ。それは悪しき事ではない。君たちは大地の清浄化という崇高な目的の為に自身を犠牲にしたのだ。恥じる事ではない」
      「冗談を!」
      「考えても見たまえ。貴君らが我の命を奪う事、それは永遠に美しき大地を失う事を意味するのだ。本来人が還るべき母なる大地を奪う事になるのだぞ?」

       ロイは発しかけた言葉を口惜しげに飲み込んだ。
       名を付けようも無い感情が胸に滲み出る。自信の判断が取り返しの付かない事態を招く恐怖と、そうありながらも他に道を見出す事も出来ない歯がゆさだ。モリビト達との間に不幸な結末を招いてしまった時のように。
       自身が見つめる遥か彼方だと信じたその場所は、本当はほんの目先の、自分の足元に過ぎないのではないかと…所詮自分が見ている大局などはただの錯覚ではないかと、そんな畏れに指が震えた。

      「貴様こそ気付いているのか」

       荒い息とともにリュカの声が響く。

      「何にだね」
      「世界樹は何故綻んだのか、だ」
      「何だと?」

       平静さこそ崩れないもののヴィズルの面持ちは固い。リュカは苦し紛れに嘲笑した。

      「穴の開いた毛布は既に役目を終えたという事だ」

       人の手より大地を包み隠す何者も踏み込めぬ樹海。それは今人が生きる偽りの大地の基礎であり、迷宮はその綻びに過ぎないとヴィズルは言った。
       その基礎が綻び始めた。それは果たして偶発的な出来事なのだろうか?

      「毛布は自ら穴を開ける事は無い。“開けられる”事はあってもな」
      「ならば何故綻びは再生されない?それこそおかしな話だ」

       その言葉に世界樹の動きが止まった。リュカは流れが自身に向いたことを悟ると矢継ぎ早に続ける。

      「浄化は終わったのさ。だからこそ俺たちはかつて放棄されたこの地を踏む事が出来る」

       初めてではないだろうか。ヴィズルの表情にほんの僅かとはいえ恐れの様相が現れたのは。唇は僅かに振るえ老いたその顔は蒼白する。

      「既に世界樹はその役目を終えた。大地を覆う毛布はもう必要ないという事だ。故に樹海は朽ち、その穴は迷宮という形で俺たちの前に現れた」

       同意を求めるように首を傾けるリュカ。ヴィズルは答えない。ただ強張った顔でその言葉に耳を傾けていた。
       これまでどんな言葉を投げかけられようと、どんな憎しみをぶつけられようと決して心を靡かせる事の無かった創世主は今確かに動揺しているのだ。

      「…違うな」
      「違わないさ。ならば何故、“執政院長ヴィズル”は樹海を踏破せよなどと触れを出した?そして、その触れのままに樹海を踏破せんとする俺たちを阻んでいるのは誰の意思だ?」

       ヴィズルは困惑しているようだった。
       無理もないとリュカは思う。既に目の前の男はかつて世界を再生を願った天才科学者ではない。
       愛するものの意識を飲み込んだ世界樹の力を受け、自身もまたその意思に飲み込まれた傀儡に過ぎない。ヴィズルにその自覚は無いのだろう。当然だが。だからこそ現状に困惑している。だからこそ言動にも矛盾が生じる。

      「違う」
      「気付いていないのなら教えてやる。良かったな、貴様の悲願は成就した。大地は浄化され、人はかつての記憶にたどり着いた。かの救世のジーニアスの願いどおりにな」

       強張ったヴィズルの表情が僅かに和らいだ。冷酷たるその瞳は見開かれ小さな熱が生まれた。遥かなる記憶の果てに何かを見出いだしたその顔は、大切な大切な宝物を掌に包んだ子供のようにも見える。

       しかしそれも一瞬に過ぎなかった。

       かつてない程研ぎ澄まされた殺気が駆け抜ける。掠められただけで魂を引き抜かれそうな気迫にリュカは僅かに臆した。しかしそのまま流される事は拒否した。これまでの憎しみや怒りが、彼に逃げ出さぬよう立ち続けるよう駆り立てる。

      「例え大地が浄化されようとも、人の魂は未だ浄化されてはおらぬ」
      「それは、貴様が生き続ける限り達成されない夢だ」

       ヴィズルの眼光がリュカの瞳と衝突する。瞬間、リュカの瞳が大きく見開かれた。
       ヴィズルの狂気の瞳が齎したのは、心臓を鷲づかみされたようなおぞましい感覚。リュカは小さく呻いた。

      「そんな…事を、しても…無駄だ」

       リュカの膝が折れる。呼吸を詰まらせながらもリュカは言葉を連ねた。

      「人の道は…常に、人の望んだ方角にしか…向かない。前時代とやらが…滅んだ事も。そして…再び、大地が…再生され、人がまた興った事も…全ては、人が、そう…」

       皆まで言う事は叶わずリュカの言葉は消えた。悲鳴のような声と共にテアが駆け寄る。

      「変わらぬよ。やはり変わらぬ。何千年の時を隔てようとも人は変わらぬ。口では達者な事を言いながらもその代償を払おうとはしない。肥大したエゴが何をもたらすか等、考えようともしない」
      「お前が言えた事かよ!」

       再びヴィルジールがヴィズルの元へ駆け出したのと、足元の根が揺らぎだしたのは同時だった。
       ヴィルジールに向かい数多の枝が触手のように伸び、その足に刺さり腕に絡みつく。引き千切る勢いで枝を払いながら彼は一心不乱に駆け抜けた。
       アルステーデが矢を番える。棘の付いた枝に足を巻かれながらも彼女は的だけを見据える。目の前に迫る鈍い刃に気を取られる事も無くその矢は真っ直ぐに放たれる。

      「ロイ、行って!大丈夫だから」

       再び渦巻くよううねる根の中でテアが叫んだ。既に意識のないリュカを抱えながら。
       その声に、真剣な面持ちに背中を押されながらロイも走った。全てを終わらせる為に。

      「思い出してください!」

       手甲で枝を払いながらロイは叫んだ。上部から呻き声と共に血が滴ってくる。ヴィルジールのものだ。

      「貴方だって人に希望を持っていたんでしょう?だからこそ、未来を生きる人に再び大地を還したいと願ったんでしょう?」
      「今はまだその時ではないのだ。人は未だ迷走している」
      「貴方が居なければ正しき道を歩めない、貴方が居なければ未来を迎える事も出来ない…そんな人の姿を望んだんですか?!」

       ロイの視界にヴィルジールの姿が移る。剣を振り上げヴィズルに斬りかかるその姿が。彼のわき腹に図太い槍のような枝が突き刺さる。口から悲鳴と血を吐きながらもヴィルジールは再度剣を振り上げた。ロイは彼に刺さる枝を大剣で叩き斬る。

      「っくしょうっ…」

       食いしばった歯の隙間から血が零れる。ヴィルジールは切断されながらなおも暴れ傷を広げ抉る枝を引き抜いた。傷口から夥しい量の血液が溢れる。

      「人間だって言うなら、それらしく地べた這い回ってみろ!神気取だってならそれらしくしやがれ!今日日、神は人間に“御手”なんて差し伸べねえんだよ!」

       気合と共に放った一撃はヴィズルの肩口を刺し貫いた。続けざまにロイの大剣が、無数の枝を叩き斬りながらヴィズルの腹部に食い込む。激痛に叫ぶヴィズルのおぞましい声にロイは一瞬身を竦ませる。

      「まだ早いのだ。旧文明の叡智を手にしても人にそれを扱う事などできはしない。再び過去の過ちを繰り返すだけだ」
      「そんな事しません。させません!!」
      「人の意思は弱い。過ちが繰り返されればこの数千年が灰燼に帰する。我の費やした時間は、数多の犠牲が無に帰してしまう」

       その時ロイはヴィズルの目頭に僅かな煌きを見た気がした。その小さな光は、あまりに脆く頼りない言葉はロイを締め付けきりきりと絞り上げる。
       目の前で輝かしい文明が滅び去り雨水のように命が流れ消え、自らの招いた事態から目を背ける事すら叶わず、ただ成就の日を独り待ち続けたこの男。
       人類の罪と罪の代償、さらには代償を払う事で生じる罪さえも一人で負わされ疲れ果てた人間の小さな叫びだった。
       剣を引きかけたロイの目前でヴィズルが絶叫した。ヴィルジールの剣がその胸を刺し貫いたのだ。

      「無駄じゃねえよ!無駄じゃねえし、用済みになったわけでもない。これ以上お前が苦しむ理由が無くなった。そんだけだ」
      「全ては人の未来の為だった。現に人は未来を手に入れたはず。全て我の功績だ。何故我がこのような仕打ちを受けねばならん!?」

       血を吐くような言葉の幕は、その眉間に突き刺さった矢により下ろされた。泣き出しそうな面持ちでアルステーデがかつての長を見つめていた。

      「解っている!解っているわ!でも貴方は自分の作り上げた物をまた壊そうとしてるのよ!?」

       再びアルステーデは矢を番えた。それだけが彼女に…今、ここに居る彼女らに出来る事だ。人の未来を一人で支えた男への報恩は静かな眠りを与える事だけ。
       ヴィズルが絶叫する。一際強い嵐が巻き起こり、ヴィルジールは跳ね飛ばされ地面に身を打ち付けた。ロイは辛うじて免れたものの彼の目の前では再びヴィズルの姿が消えようとしている。あの枝の防壁に阻まれて。

      「それじゃ駄目なんですよ!」

       ロイは咄嗟に張り出す枝を蹴り上げ組み上げられる防壁に手をかけた。必死に身体を持ち上げるとその僅かな隙間に滑り込む。
       そのまま…ヴィズルの腹に大剣を付きたてた。
       人間の骨肉を圧し斬る重い感触が両腕に伝わる。吹き出し流れる血は紛れもなく紅き色。そして熱い。ロイは唇を噛み締めた。

      「貴方がくれた世界、僕達は決して壊しません。貴方の苦しみを忘れたりもしません。その為に僕は貴方に勝たなきゃならないんです。だから…」

       謝罪と感謝と。ロイは発する言葉に迷った。しかしどちらも発する事は叶わなかった。どちらも自己弁護にしかならないと思った。
       ヴィズルの血走った目にロイが映る。苦悶と憎しみの色濃いその瞳を見つめながら、ロイはただ心で唱え続けた。
       僅かでも苦しまず逝けるように。その胸を絶望に満たしたままではなく、僅かでも未来の光を抱いて逝けるように。

      「……な」
      「…え?」
      「変わらんな…人も、世界も」

       それが最後の言葉だったのだろうか。ロイの目前でヴィズルの瞳より光が消えた。うつろなその瞳は何故だかとても温かく見えた。

       そして、唇から零れていた長い長い溜息が途切れる。
       光を失った灰色の瞳はゆっくりと閉ざされる。
       やがて全ての動きが止まった。静かに音も無く。
       それは長き長き命が、ついに果てた瞬間だった。
       …………。

       直後巻き上がった嵐にロイは顔を上げた。世界樹を覆うように咲き誇っていた花、その花弁が一斉に空中に巻き上がったのだ。主を包み込み、それを前にするロイを包み込み。鮮やかな色彩とともに果実のような芳香が舞う。その情景にロイは一瞬心を奪われた。 
       驚嘆しながら顔を上げたロイは、背後のただならぬ気配にふと振り返る。

      「しまっ…!」

       まさにその瞬間だった――絡み合った枝同士が光を妨げ、彼らと外界を隔絶したのは。
       慌てて駆け寄ったロイは暗闇の中必死で組み合う枝に指をかけた。歯を食いしばりながらこじ開けようと力をこめる。
       閉じ込められたのだ。堅固な防壁の中にその主と共に。

      「こんな…こんな事…!」

       枝の隙間に指をかける。叩き割ろうと拳を上げる。全体重をかけて突進する。しかしそれが動く気配は無い。
       ロイは振り返る。腹に剣を付きたて幹に埋もれたヴィズルの姿も既に闇に溶け見えない。動く気配も無い。
       ロイに出来たのはただ…愕然と膝を付くのみだった。



       ***



       エトリアは夜明けを迎えていた。悪しきものでしかないと思われた夜明けを。
       一夜を生き抜いた戦士たちは皆その朝日に絶望した。
       宵の戦いを支えた癒しの清水は効力を失い、代わって現れるのは魔物も群れだ。…その、筈だった。

      「…夜明けか…」

       眩しい輝きを鎧に反射させながら、油断なく身構えた騎士はふと髪に触れた違和感に慌てて振り返る。
       しかし彼に触れたのは魔物ではない。仲間でもない。鮮やかな無数の花弁だった。
       呆気にとられた顔で騎士はその情景を眺めていた。握り締めた剣が手から滑り落ちる。

       *
       
      「なんだ…これ?」

       剣を杖にするよう膝を付いているのは赤毛の剣士。一夜を戦い明かし既に帰還する体力すら失いたたずんでいたところだ。
       そんな状態なのは彼だけではない。兵士も冒険者も疲れ果てただ気力のみで立ち剣を振るっていた。既に帰路は無い。戦士たちは皆傷付き疲れ果てていた。
       これが最後の夜明けだと誰もが思っていた。
       しかし夜明けと共に訪れたのは新たな魔物の姿ではなかった。天より舞い振る数多の花びらだったのだ。

      「終わったの…かしら?」

       魔物の亡骸にもたれるよう倒れていた錬金術師が顔を上げる。彼女の治療をしていた青年の頭に花弁がひっかかる。

      「これも魔物ってんじゃぁ、ありませんよねぇ…?」

       治療師のぼやきに錬金術師は酷いしかめっ面を返した。

       *

      「来るか?来るならば歓迎しよう。今宵の晩餐のメニューに記してやる!」 

       明けの光を浴びながらガントレットを掲げた金髪が啖呵を切る。が、その全身は既にズタボロだ。

      「リーダー、頭に花咲いてるっスよ」

       同じく肩で息をしながら剣士が言う。そう指差す剣士の爪にも花弁が張り付く。
       ここ数日は絶望の象徴だった夜明けが、何故だが暖かく感じた。

       *

      「…ふざけるなあの老いぼれが…どう安く見積もっても割りにあわんぞ、これは」

       幹にもたれかかる様座り込んだ男も、この一夜を魔物と戦い続け既に限界が近づいていた。近くでは兵士達に紛れ異国の衣をまとった女が地に伏せている。こちらも遠目には死体に見紛う程酷い姿だが、時折動くさまを見るに辛うじて生きているのだろう。が、既に戦力にはなりそうにない。
       その彼らの元にも花の雨が訪れる。滑らかな花弁は男の髪に絡みつき目元で揺れる。

      「…鬱陶しい」

       焼き払おうとガントレットを起動するが、そこから出るのは僅かな煙のみだった。舌打ちし諦めたように身を投げ出した男の姿を覆うよう、花びらは舞い降りる。

       *

      「…花…」
      「そうだな」

       たった今少女に巻いてもらった包帯に張り付いた花弁をつまみ上げ、青年は再びそれを宙に舞わせて見せた。 
       
      「なんだか、世界樹が泣いてるみたいじゃないですか?」
      「祝福の紙吹雪だ。そうに決まってる」
       
       *

       魔物の襲来は終わった。
       未だ完全に終結が宣言されたわけではない。しかし兵士も冒険者達も自身が掴み取った勝利を片手に、空いた片手で互いの傷付いた身体を支えながら帰途につく。変わってエトリアからは治療師を初めとした一団が訪れる。昨夜までは彼らのような非力な者たちは一歩として踏み入る事のできなかった危険な樹海へ、戦士たちを迎える為に、だ。
       そんな中に彼女も居た。

      「ありがとう」

       青白い指先が水袋の口を絞る。癒しの泉の水を満たした水袋だ。剣士と弓使いの二人連れの感謝の言葉に小さく返事をし、ツスクルは足早に奥地へと向かう。途中、負傷し動けない戦士達に癒しの水を施しながら。力尽き顔を上げることすら叶わなかった騎士さえも、その水を浴びればすぐに身を起こす事ができた。
       そうしながらツスクルはただ探していた。自身の半身と称することも躊躇わないかけがえの無い存在を。
       身を苛む不安をこすり付けるように、鎖に括りつけた継ぎ接ぎの人形を強く握り締める。こちらに来る人の群れの中に彼女の姿を願い、数多の亡骸の中にその姿が無い事を願い。ツスクルは足早に奥地へと進んだ。

      「……!」

       生い茂る濃い緑の中微かな木漏れ日に照らされたその場所。積みあがる獣の亡骸にその痕跡を見つけたツスクルは、恐る恐る日の差す場所へと足を踏み込んだ。
       濃厚な獣と血の匂いの中をただ無心に進む。ローブが血を吸い上げ重い。それを引きずるように小走りに行く。

      「レ……!」

       その姿を見つけてもすぐに呼びかける事は出来なかった。
       恐ろしかった。もし名を呼んでも返事が無かったら。顔を上げてくれなかったら、自分はどうなってしまうだろうか?知る事を遅延させるだけの行為になんら意味が無いと知りながらも、ツスクルの喉から声は出なかった。
       間近に見るレンの姿は酷いものだった。白い衣は元より赤かったのかと思わせるほど血に染まり肩や腕につけた甲も最早役割を果たしていない。こみ上げる衝動を抑えながらツスクルはそっと屈みこんだ。自分が居ないせいでたった一人でこんな目に合わせてしまったのだと、そう思うと泣きたくなった。
       伸ばした手は震えていた。その指先にもし熱を感じる事ができなかったら…そんな不安が彼女の動作を鈍くする。
       しかしその心すら定める間は無かった。レンの頬に触れる直前でとどまってしまった指は、即座に熱い血液の絡まる手に握られる。

      「えっ?!」

       腕をつかまれ、引っ張られ。二重の驚きに声すら出せずに居るうちに、眼前でレンが顔を上げた。
       いつも見慣れた顔。僅かな驚きの後に見せたのは安堵のそれだ。少女の前でしか見せる事の無い隙だらけの姿だ。

      「ツス…クル」

       ツスクルがその名を呼ぶ前に、レンが少女の名を呼んだ。数日ぶりのその声はたった数日ぶりだというのに酷く懐かしく聞こえた。共に生きて来てこれまで、これ程長く彼女の声を聞かなかった期間など無かったからだ。

      「…私は…やはり、駄目だ。…一人では何も…何も出来ない。…生きる…言い訳をする事さえ。だというのに、私は…」

       黄金の瞳、その輪郭が涙に歪む。ツスクルはただ言葉もなく首を左右に振るだけだった。

      「これは…報いだと…思っていた。もう、お前の元に…帰る事も…叶わないと……許され…ないと」
      「そんな事…そんな事言わないで」

       身に覚えの在る言葉にツスクルは零れる涙を止め様ともしなかった。その言葉を知っているからこそ解った。レンが何を想い何を悔いているのかが。

      「私が悪いの。レンがどれだけ辛いか知っていたのに。レンの事何も解ってなかった。どんな気持ちで居るかなんて考えもしなかった」

       ツスクルの頬に溢れる涙をレンの指が拭う。暖かい指は涙をふき取る代わりに少女の頬を赤く汚してしまった。レンの喉から小さく声が漏れる。

      「…すまない」
      「いいよ…そんなの、いいよ…」

       熱い血が愛しかった。かけがえの無い生命の雫が。
       ふとツスクルは首筋を抑える。そこに触れたひんやりと滑らかな感触に天を仰ぐ。

      「あ…」

       青みを帯びた薄紫の空には無数の花弁が舞い踊っていた。
       樹海全体を埋め尽くすよう降り注ぐ花。血濡れの大地を覆い隠し再び恵みの緑を還そうとしているのだろうか。

      「……ヴィズル……」

       か細い呟きにツスクルは再び振り返った。
       舞い散る花を呆然と見つめるレン、彼女の掌が空に向く。震える指先は降り注ぐ花弁を受け止めようとそっと掲げられた。
       しかし彼女の手のひらに触れる直前、花弁は風に吹かれ彼方と消える。

      「……!」

       握り締めた掌は何一つ収まってはいなかった。流れのままに去ったのだ。遥か遠い、遠い世界へと。

      「レン…?」

       俯いたレンの顔は見えない。ツスクルはただその肩を抱きしめた。降り注ぐ冷たい雨から彼女を守るかのように。
       花弁をその黒衣に纏いながら…。



       **



      「そんなに…僕が憎いんですか」

       暗黒の中ロイは呟いた。相手の姿は殆ど見えない。
       それどころか投げ出した自身のつま先さえもまともに見通せない。このまま身体が少しずつ闇に溶かされてしまうのでは…そんな錯覚に身を竦ませる。
       この暗黒の世界に引き込まれどれだけ時間が過ぎたのか、ロイにはもう解っていなかった。暗闇は精神を蝕み心なしか息苦しさも感じる。空腹は既に越えてしまった。
       枝を押し開けようと掻き毟った指の爪はもう全てボロボロだった。突き破ろうと繰り返し打ち付けた半身は熱を帯びている。しかし既に痛みは感じていなかった。

      「それは…そうですよね。僕だって貴方が憎いんだから。貴方がどれほど偉大な事を成し遂げたか、それを知ってもやはり貴方の行いを全部は許したりできないんだから」

       モリビトの少女の悲痛な面持ちが。研ぎ澄まされたレンの眼差しが。進むべき道を失い嘆くツスクルの声がロイの脳裏に蘇る。
       続いてエトリアで待つ者達が。魔物に脅える優しい人々の涙が。魔物に立ち向かう雄々しい戦士たちの背中が閉じた瞼の裏に見える。
       そして仲間の顔。必死で掴み取った希望をもぎ取られたテアの悲しみが。その笑顔の下に押し殺したアルステーデの苦しみが。不条理な運命に激昂するヴィルジールの叫びが。繰り返し絶望の淵に突き落とされながらも天を仰いだリュカの姿が次々とロイに思い出された。
       彼らの苦しみを忘れる事など出来ない。たとえ時が傷を癒すとしてもその罪は決して消えない。

      「でも、いいですよ。貴方はずっとずっと孤独だったんだ。最後くらい寂しい思いしなくても、良いですよね…。だけど…」

       再びロイの脳裏に懐かしい人々の顔が過ぎる。忽然と姿を消したヴィズルを案じる人々の顔が。
       長を探して欲しいと言ったオレルス。真剣にその身を案じていた《金鹿の酒場》のサクヤ。商売柄どんな時も笑顔を絶やす事の無い彼女の心痛な面持ちを見たのは初めてだった。
       誰しも皆ヴィズルの帰還を待っていたのだ。いや、今でも待っているのだろう。強く聡明な長は何時ものようにエトリアを救ってくれるものだと信じて。

      「貴方は本当は、独りなんかじゃなかったんですよ」

       例えヴィズルが人に失望し見放し敵意を抱いたとしても。

      「レンだって…。…僕も、最初は…女の人の、弱さ…だけだと思っていました。けど…違うんですよ…全部、解っていて、だから…」

       人は皆ヴィズルを愛し信じていた。

      「貴方はモリビトも…護るべき樹海を裏切ったのだと言うけれど…彼女らだって嘘偽りなく樹海を愛していました。その恩恵に感謝し、樹海を授けてくれた神を敬い、決して樹海を侵そうなどと考えては居ませんでした」

       言葉を連ねながらロイは目の奥の熱に思わずぎゅっと瞼を閉ざした。
       それほどに皆、樹海とその創世主を愛していたというのに。

      「なのに、どうして貴方は何も信じられなくなってしまったんですか?」

       何故こんな事になったのか。何故ヴィズルは輝かしい人の未来を見届け去ることが出来なかったのか。
       歯車は何処で狂ってしまったのか。
       偉大なる創世主は自身らの末裔達を憎み、自身らの作り出した者を疎み、ただ嘆きと破滅を齎すようになってしまった。
       創世主の願いが叶う事は同時にその滅びを示していた。人の未来を誰より願った事の代償がこんな苦痛の果ての末路だとすればあまりに無残ではないか。

       無論、ロイがどれほど待とうとも、呼びかけに対する返事は無かったが。

      「…今更、こんな事言っても仕方が無いですよね。貴方が、自身の命の代償として僕の命を求めるなら、僕は喜んで捧げますよ…」

       だから。もう何に憎しみを向ける事無く、何に絶望する事も無く、安らかに。


       ―――。
       時折、意識が途切れる事が増えてきた。今は明確に息苦しい。
       例え命運を共にするのだと腹を括ってもただ暗闇の中長い時間をすごせば、その時が近づけば胸に感傷も沸き起こる。
       故郷の両親はきっと嘆くだろう。世継ぎとはおよそ縁の無い三男坊の自分だがそれでも他人が呆れるほどに愛してくれた。
       主命を全うする事も出来なかった。エトリアの先に危惧はあるがきっと仲間がうまくやってくれるだろう。テアは自分の気持ちをよく知ってくれているし、リュカならば自分より余程上手く立ち回ってくれるはず。

       ――テア。

       ふとロイの瞳に再び涙が溢れた。
       最後に見た彼女の表情は、最後に交わした言葉は何だっただろうか?
       何故もっと彼女の顔を良く見ておかなかったのか。彼女と言葉を交わしておかなかったのか。
       伝えたい言葉が、聴きたい言葉が沢山あったのに。
       
       ――帰りたい。

       もう一度彼女と並んでベルダ広場を歩きたい。仲間と共に酒場で騒ぎたい…自分は、あまり酒は飲めないけれど、その空気がただ恋しい。そして宿に戻り聞きなれたリュートの音と共に新調された毛布に包まる前には、下の食堂で暖かいシチューを頂くのだ。最近になって少しばかり具が増えたシチューを…。
       翌日の探索の計画を語りながら…。
       全ては遠い日の記憶に思えた。
       あの美しい翡翠色の森を歩いた事も。亜熱帯の森に顔をしかめ幻想的な青樹海に感嘆した事も。
       そしてあの枯レ森の悲劇もこの滅びた世界を見た感慨も…。
       薄れ行く意識の中で仲間の顔が消えてゆく。声すら思い出す事ができない。テアはどんな顔で自分を見つめてくれたのだっけ?どんな声で自分を呼んでくれたのだっけ。

      (――ロイ!)

       ああ、そうだった。
       そんな風に…あれは、確か、恐ろしい蟷螂の魔物と対峙した時だ。

      「ロイ、死んでしまったかと思った…っ」 

       そう言って自身の身を案じてくれたのだ。あれは…。
       目の前が眩しい。何も見えない。

      「嫌だ…」

       このまま消えてしまうのは嫌だ。全ての感覚が無くなり果てにはこの世から消えてしまうのは…。

      (死ぬのは、嫌だ!)

       叫ぼうとしたロイの胸に、ぐっ…と圧力が掛かる。長く無かった外部からの刺激にロイは目を見開いた。
       アルコールの混ざったような花の香りが鼻孔をくすぐる。細い柔らかな髪が頬を撫でる。
       未だぼんやりとした意識を必死で繋ぎとめる。そして視界のもやを振り払うように意識を集中させる。目の前のものを確かめる為に。
       間近にテアのぐしゃぐしゃの顔があった。自身を見つめながらぼろぼろと涙を流し、血や土の汚れもそのままの顔。
       ひどい有様の、だが愛しい彼女の姿だった。

      「テア」

       ゆっくりとその肩に触れた。それが幻で無いと確かめるように。華奢ながらしっかりとした感触がロイの掌に返ってくる。ロイは無我夢中で彼女の肩を抱きしめた。てごたえを幾度も確かめるように、離さないように。

      「テア…僕…!」
      「大丈夫。生きているよ。ロイは、生きているから…」

       泣きはらしたテアの顔は鏡のようだと思った。きっと、ロイも同じような顔をしているのだろうから。
       その後は言葉も無かった。ただ二人で躊躇わず恥じる事も無く出る限りの大声を上げて泣き続けた。

      「ったく、見てらんねーよ」

       降り注ぐ眩しい光に移る影が頭を掻き毟ったように見えた。その影を小突く影がもうひとつ。少し離れた位置に、もうひとつ。

      「よくやった。手柄だったな」
      「帰ろう。皆で」

       耳に溶け入る声が心地よい。目を差す光が愛しい。
       こんなにも人は優しく世界は美しいのだ。人がそう望む限りは、ずっと。

       仲間の肩を借り大樹より身体を降ろしながら、ロイはふと背後を振り返る。既に動かないヴィズルの姿を。
       ロイが今その手に握っているもの。自らの命と未来への指標。
       彼を殺めて奪い取ったそれを、自分は決して放棄してはいけない。守り続けなくてはならないのだ――。


       エピローグへ








      …えー、この先はまた俺設定補足となりますので、先にエピローグへ行くことをオススメします。
      あちらを読んでしまった後またお戻り下さい。
      えーくりかえします(以下略

      さて。

      いろいろとんでも俺設定をやらかして参りましたが、最後にまた一発どでかい捏造やらかしてみました。

      世界樹=フォレスト・セル=ヴィズル妻(のーみそだけ)

      そしたら「私も世界樹にとらわれて永遠の命に」なるのに「一人残される夫が可哀相」と繋がるメモも矛盾が無くなるかなとか(自分の意識は残るけれどヴィズルは孤独になるから)、
      世界の再生を終えても世界樹の存在に拘り、第六層へ行かせまいとした(B25Fのバトルは私はそう解釈してます)ヴィズルの行動の追い風にもなるかなとか!

      何でそうしたかと言えば、「世界の再生」はあくまで「人間に都合よく」行なわれなければならなかったから、人間の思考や判断能力が必要だったと考えられませんかね。
      ミニコミ誌の書き方ですと…「計画により植えられた“世界樹の種子”は世界再生の為に環境に影響しない程度まで人口減らした(為に人類を抹殺した)」のですが、どうもそれも研究者達にとっては予想外の結果ぽいじゃないですか。
      ヴィズル達としてはあくまで人間が地球で生き続ける為のプロジェクトだったのに、地球の判断は、地球の為にはまず人間いらないよって話になったって事ですよね。
      (と、いうよりは再生する際に人間の都合なんか考慮してなかったので、結果的に大勢が死に、環境良すぎて人が生きるのに適さない地形になってしまっただけでしょうが)
      これじゃマズイって事で、状況にあわせて世界樹のルーチンに人の意思(要は人の都合とか要望とかそんなもんですね)が直接介入できるようにヴィズル妻ののーみそを組み込んだ、とかさー。
      …すごい適当なんですが、「なんとなくそんな感じ」的に解釈して下さい。甘く見てください。誰かボクに優しくして下さい。
      技術的には、まあSF系には似たような設定山ほどあるので大丈夫ですよね!たぶん!!
      ほら、樹海を超巨大な義体に例えるとかさ(無茶苦茶すぎるだろ)
      あとマギとか。そういや微妙にエ○ァ被ってるな、人間関係が…。

      っていうか、そもそもの「自己判断で世界再生するプログラム作った」ってのがええー!?って言うか。
      まあ、状況が未知数だからってのもあるのかもしれんのですが、一連のシーケンスは作ったけど結果がどーなるかよく解ってませんって、どんだけ…!
      その辺りは状況が状況だったとか、こんぴーたー様の暴走とか(市民、幸福ですか?)適当に補完すりゃいいんですけど。

      ともかくですね、ヴィズル妻ののーみそ設定については…確か「エヴァが目覚める時」とかいう本がありまして、その辺りをパク…いえいえ元にした発想です。
      ちなみに前文でちょっと触れたエヴァン○リオンとは関係ございません。
      内容は事故で死に掛けた(死んだ?)少女の記憶をチンパンジーに移植して…ってお話だったと思います。脳を移植したのか、チンパンジーの脳を書き換えたのかとか、その辺りの細かい設定は覚えてませんが。
      まあ、でも結構ある話ですよね!具体的にタイトル思い出せませんが!

      そんなオチとなりました。
      いや、この脳内設定だとレン様すごくお可哀相(笑)
      このままじゃあんまりだよ!と思われる方の為に頼まれても無いのに着脱式1シーン用意しときますので必要に応じてご使用下さい。


      「言付けを頼めぬか」

       既に物言わぬと思っていた相手の声にロイは顔を上げた。硬化した枝に埋もれるヴィズルの姿はやはり死んでいるように見える。だが紛れも無く口を利いたのは彼だ。

      「何方にですか」
      「レンに」
      「…何を」

       最後まで嫌な事を言ってくるものだと思った。自分とてここから出る事はもう叶わないのだと言うのに。
       それでも問い返したのは些細な興味と、死を待つ間の暇つぶしに過ぎない。

      「感謝を。最期に満ち足りた時間を過ごす事が出来たと」
      「なんですか、それ。お侘びのつもりですか」
      「そんな大層なものではない。年寄りの浅ましい未練だよ」

       毒気を抜かれたような表情でロイは嘆息した。

      「そんな事言っても、レンはありがとうって言うだけだと思いますよ。『僕に』」
      「そうか。そうかもしれんな」

       それが最期。二度とその声が聞ける事は無かった。





       入れても良かったんですけど、最期の最期で女の話じゃ何か器が小さいっつーか、
      がっかりな感じがプンプンしますのでばっさりやりました。あと、やっぱり個人的に片思いの方が萌える
      レン様があんまりアレすぎだとか、ヴィズルなんて元々小物じゃんって方は遠慮なく挟んでください。
      無論、レン様に幸せなんかイラナイとかヴィズルはもっと冷酷なクールガイだぜって方はカットしたままでOKですよ
      何ですか、最初は、まあ、結婚詐欺みたいなもののつもりだったんですが、
      愛人ごっこ(笑)やってたら案外悪くなかったとか、思いの外穏やかに幸せ気分で過ごしてる自分に気付いたよって感じで、
      ずっと孤独と苦痛と心労しかなかった数千年の最後に安らかな時間をありがとう…みたいな補完です。
      似合わないなあ(笑)
      ヴィズルは奥さん相手でも愛し下手なんだろうなと思ってます。
      おしどり夫婦ながら、結婚20年とか30年後に「母さん、一度も父さんに「愛してる」とか言ってもらったこと無いんだよ」とか言われちゃうタイプ。
      それは冗談として(笑)妻子が幸せに生きられる世界を作る為に必死に研究したのに、結果がこれ…みたいな感じですかね。

      あと「世界樹は迷宮を覆う毛布で迷宮はその綻び」という表現に関してピンとこない片はこちらの図をご参考ください。
      以前のと同様、すげえ前衛芸術的ですがwww
      ちなみに盟約が結ばれたのは、樹海が形成途中の頃です。つまり図の第一段階になる以前の事ですね。
      第一段階の頃にはもう樹海には普通に入れる状態ではなくなってしまったので、意思に関係なく盟約は守られ続けたと。
      まだ良く解らないって方はおっしゃってくださいorz


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