Epic Theft世界樹の迷宮メインの二次創作とか語りなブログ。
旧世界樹のめいろですが別に中身なにひとつかわってません。
絵とか小説とかあるよ。CATEGORIESからどうぞ。
リンクフリー。バナーはPROFILEの中にありますよ

公式とは全く関係ありません

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
スポンサーサイト
0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    | - | - | - | posted by スポンサードリンク -
    流砂の追憶 07:33
    0
      *注意!*
      このお話は公式NPC(レンツスね。あとちょっとヴィズルとモリビトも)の設定をごく個人的な趣味と萌え妄想で捏造しまくり、キャラ本物とかけ離れたようなキャラ像くっつけたり(私的にはこういうキャラ像なんですけど、客観的に見た場合は離れてるだろうと)好き勝手にやりたい放題やってるお話でございます!

      ぶっちゃけ、これまで絵カテゴリでは晒したものの文章では控えめにしてた腐臭を 全 開 に し た 話でありまして、平たく言えば「原作ピー(不適切な表現)」という奴ですので、そういったものでも大丈夫な方だけ続きをお読み下さい。
      大丈夫じゃ無いならカエレなんていう気は全く無いのですが、私に出来るのはせいぜい「ごめんなさい」というだけで発生してしまった不快感を取り去る事は出来ませんのでご容赦くださいませ!





       音も無く流れる砂と砂を擦る風の音。そればかりが続き果てには何も無い。そんな乾いた無限の世界で私は生まれた。小さな小さな世界で私が上げた産声は、それまでに一度もこの樹海の空気を振るわせる事の無かった音だと後から聞いた。
       私は自分の髪で炎の色を知った。包まれた黒衣で暗闇の色を知った。父と母の瞳で鈴の色を知った。他によく知っている色は『モリビトの色』。彼らの瑞々しく美しい髪の色。
       白いぼんやりとした空と、白に近い黄色の砂と、乾いた木が疎らに生えるこの大地。“枯レ森”が私の生まれた場所で、それだけが世界の全てだと思っていた。
       そこに生きるモリビト達と獣と虫達が全てだと思っていた。
       その中でたった三人。父と母と、それから私。炎の髪と砂の色の肌を持つ存在が何より不思議だった。

       四つの頃に始めて泉に行った。父と母とモリビト達と、何も無い荒野をずっと歩いて。そんな大地の最果てはあまりに遠く、大きすぎる世界に小さな私は酷く不安を覚えたのだ。けれど父も母もそしてモリビトたちも、道標すらない荒野をまるで地図があるかのように確かな足取りで進むのだ。
       やがて辿り着いた泉、そこで私は生い茂る『モリビト色』の葉を見た。
       それまで私が知っていたのは、水を含んだ砂の色をした固く乾いた薄焼き菓子のような枯葉だけ。だというのに空っ風に吹かれざわざわと煩く音を立てるその葉は、モリビトの髪のように鮮やかな色をしていた。そして柔らかく滑らかで、軽く爪を立てると私の乾いた指は僅かに濡れた。
       私はその不思議な葉に一瞬で魅入ってしまった。カリナンの採掘場にいる坑夫達の様に目を輝かせ、木々を掻き分け葉を掻き分け、夢中でそれらに触れた。
       その探求の果てに私はさらに胸躍るものを見つけた。白くまあるい、薄絹のように滑らかでふっくらとしたもの。それを目にした途端、幼い私の心は一つの答えを導き出したのだ。
       
      「あれが大きくなって、モリビトになるの」

       素晴らしい発見をした興奮と、それを父と母に伝える喜びと。きっと私の瞳はとても輝いていたのだろう。父と母はモリビトのように目を見開いた。それから大きな声で笑って私を抱き上げてくれた。周りのモリビト達も皆笑っていた。
       きっと、ここではない違う場所に炎の色の葉もあるのだろう。そして私はきっとそこから生まれたんだ…そんな高揚感に私も笑った。
       
       ** 
       

       6つの頃だったと思う。その日私はずっと身体が熱くておもたくて、部屋から一歩も出ずにじっと炎を見つめていた。火に当てられ赤く染まる壁にふと黒い陰が揺らめくと、私は少しだけ気が休まる。傍らに母が来てくれたのだ。そして私の隣でそっと鈴を鳴らした。
       母はモリビトの病人達によく鈴の音を聞かせる。するとたちまちモリビトは病魔から解放されるのだ。
       そんな母をモリビト達はツスクルと呼んでいた。神に奉仕する者をそう呼ぶらしい。あらゆる苦痛を消し去る不可思議な術。モリビト達はそれを神の力の片鱗であり、それを司る母は神に仕え寵愛されし存在だと信じていたのだろう。
       けれど、そんな母は私に鈴の音を聞かせる事は嫌がった。私がどれほどの苦痛に苛まれても滅多な事では鈴を使わなかった。
       だから今日は嬉しかった。私はこの音が大好きだったから。母の奏でる鈴が。その音は撫でるように耳を通り、針を飲み込んだ熱い渦が暴れているような、滅茶苦茶な頭にそっと染みこむ。途端に私は刺す様な痛みから、焼けるような熱から解放された。
       母の顔が間近にあった。
       同じ色の髪が私の目の前で揺れて、同じ色の瞳が笑っている。
       また頭がぼんやりしてきた。けれどさっきまでの苦痛を伴うそれじゃなくて。同じ熱でも今在るのは優しい温もり。沈むような身体の重さは、まるで温かなモアの毛に埋もれているようで。
       私は母の声と鈴の音を聞きながら幸福な眠りに付いた。

       **

       これは8つの頃。その日は一日中父が居た。
       父は殆どの日集落に居ない。父の“仕事”は少し遠くまで行かなくてはならないのだという。朝、水を汲みに行く女の人よりも早く集落を離れ、狩りに出かけた男の人が大きな鹿を担いで帰るよりも遅く戻る。時にはあの恐ろしいカマキリに襲われたのではないかと思うほどの傷を負って。
       父と一緒に居られるのは嬉しい事。けれどその日私は嬉しくなかった。父が一日家に居る日には決まって良くない日だからだ。今日も例外では無かった。
       その日は私達の暮らす小屋に多くの人が訪れていた。年寄りの(もっともモリビトは見た目では年齢は解らないのだけれど)モリビトが薬湯の入った器を持ってくる。
       モリビトは母の傍らに座る。火の傍でぐったりと横たわり下手な笛のような呼吸を繰り返す母の傍らへ。そしてあの、苦い苦い痺れるような薬湯を母に飲ませる。私はその光景を見るのが恐くてそっと父の後ろに隠れた。
       母は病に倒れていた。母が寝込んでからもう一週間になる。
       私は父に頼んだ。鈴を使ってあげてほしいのだと。母を助けてあげて欲しいのだと。だが父は決して首を縦に振らなかった。そしてモリビト達も誰一人そんな父を叱ってくれたりはしないのだ。
       悲しかった。辛かった。訳が解らなかった。母はずっと同じように苦しむモリビト達を救って来たのに。モリビトだけじゃない、私の事も時には父の事も。なのに母を救ってくれる人は誰も居ない。
       
      「お父さんの意地悪!」

       私は叫んで鈴を取った。母の枕元に置かれた母の鈴を。そしてゆっくりと鳴らした。
       母が何時もそうするように。母が私にそうしてくれたように。
       静かに鈴の音が響く。モリビト達が哀れな子を見る瞳で私を見た。その裏に無力をあざ笑う影を見た私は、ただ悔しくて一心に鈴を鳴らし続けた。
       そんな中で母がゆっくりと目を開き私を見たのだ。変わらず苦しそうだけど、何処か驚いているようだった。
       母の指先が私の頬に触れた。とても熱くて、熱くて、優しかった。
       苦痛を訴える声が消えた。母の喉を鳴らす空気の音は徐々に静まり、額に刻まれた苦悶の皺も無くなり、気付けば母は微笑んでくれた。そして私の頬を幾度も撫でてくれた。
       胸躍る気持ちに私は破願した。嬉しかったのだ。母が優しく私の苦痛を取り去ってくれたように、私にも母を苦しみから救うことが出来た事が。
       そして母も喜んだ。顔をあげ私を見つめながら。ほとんど瞬きもせずに、鈴を鳴らし続ける私の姿を、しばらくじっと見ていてくれた。
       やがて微笑んだまま、まどろむ様に母の瞳が細められる。幸福そうな面持ちのまま、母の手はいつまでも私の頬に触れていた。その瞳が閉ざされた後もしばらくは。
       それっきり、母が目覚める事は二度と無かった。

       **

       9つの頃には、私はもうツスクルと呼ばれる事に馴染んでいた。
       私が鈴を握った日、その翌の月から私は母と同じ名で呼ばれるようになった。そして母と同じよう鈴を手に取った。そうする事が私達が『枯レ森』に居られる手段なのだと父は言った。
       モリビト達も父も口を揃えて言う。この『枯レ森』の外は恐ろしい世界なのだと。モリビトや、私達呪術師を脅かす恐ろしい人間たちが居るのだと。
       その頃には私も、私や父が人間と呼ばれる生き物であり、モリビトとは違う存在である事を知っていた。それを知る切欠となったのも母の死だった。
       人間は自分たちの理解出来ないものがとても嫌いなのだと言う。それが同じ人間相手であってもそうなのだ。そして多くの人間は呪術師を理解出来ないのだと言う。
       私はそれを不思議には思わなかった。私も話に聞いた人間たちを理解出来なかったし、そうでありながら理解したいとも思わず、また同様に嫌悪したのだから。見た事も無いものを嫌悪できる事には疑問を覚えたけれど、それもまた私が人間だからだと思えば肯く事も出来た。
       そして皮肉な事に私の感情が過ちでは無い事は、すぐ証明されたのだ。
       即ち、外の人間は恐ろしく、私達を脅かす存在である事を。

       私は日の仕事を終えると毎日のように集落の門前に立っていた。枯れて硬化した蔦を組み合わせ作ったアーチは私程度が背を持たれたところでびくともしない。固く冷たくごつごつした表面が私の肌を擦るけれど、そこに身を寄せている事が好きだった。とても落ち着くから。
       父の帰還に先駆け、狩りに出た男の人たちの影が遠くの砂の向こうに見えた。その影を見つけると私は少しほっとする。父の帰りを示すものでは無いけれど、彼らが帰ったという事は私がまちぼうけを食らう時間もあと少しという事だから。
       けれどその日の彼らは様子がおかしかった。彼らは狩りに出かけたのだというのに、そこには巨大な獲物はおろか背負った篭から覗く植物さえも見る事が出来なかった。そして彼らは私の顔を見ると一様に目を背けるのだ。
       その時はまだ私は首を傾げるだけでそれを気に留める事も無かった。本当に胸騒ぎを覚えたのはそのほんの数秒先の事。
       彼らの中央に囲まれ…差し詰め仕留められたモアの代わりのように繋がれ…歩く人間の姿を見てからだった。

       ――人間の!

       私は驚き振り返った。姿が見えたのは一瞬だったけれど、そこに居たのは確かに人間だったのだ。

      「ねえ!」

       込み上げる不穏な衝動に突き動かされるよう呼びかけた。人間ではなくモリビト達に。

      「お父さんは?」
      「…あぁ」

       一人のモリビトが小さく舌打ちした。そして頭を掻きながら私の方へと歩み寄る。

      「お前の親父はな、あー…しばらくな、帰れないんだ」
      「しばらく?」
      「まあ、な。これ、お前に持っててくれって」

       モリビトの男の人は私の首に鈴をかけた。父の鈴だ。くすんだ金色の鈴は何故だかとても綺麗に磨かれていた。
       その金の反射に私の顔が映る。凹凸に歪んだ私の顔は一瞬父の顔のように見えた。
       紅い髪と、金色の瞳と。
       モリビトの男の人たちが私の前から遠ざかる。もう父も戻らないのだと幼い私にも理解できた。
       私の胸には鈴が二つ寄り添って揺れている。
       けれど私は一人ぼっちになってしまったのだ。


       ***


       その日からモリビト達は慌しくなった。
       外の世界より人間が訪れ、父が帰らなくなった日から。
       私は幾度も父の行方を尋ね続けたけれど、誰しも口を揃えてしばらく帰らないと言うだけ。
       モリビト達にとってはそれどころでは無かったのだろう。彼らは一様に外の世界からの害意に脅え、里中には張り詰めた空気が漂っていた。疎外感を覚えた私は居場所を探すようにあてもなく集落を彷徨った。
       私の世界もまた一変してしまったのだ。
       モリビト達は儀式の準備を始めた。罪人…捕らえた人間の血を神に捧げる儀式だ。本来の意味は神の前で裁きを仰ぐ事だと言うけれど、モリビトの殆どは(そして私も)罪人の魂を神に捧げるものだと理解している。
       とは言え儀式が行なわれるのは久しい事なのだという。ここしばらくモリビトに害意をもたらす人間が訪れる事はまず無かったのだから。そしてモリビトが彼らの規律を犯す事もあまり無い。彼らは皆、この『枯レ森』のほかに自分たちの居場所など無い事をよく理解しているから。
       何かが壊れようとしているのだ。
       私はただ闇雲に理由を求めた。今の事態を納得する為に。有無を言わさず突きつけられた現実を自分自身で受け入れる為に。
       その探求の果てに私は彼女にたどり着いたのだ。

       石で固められた地下はとても冷える。けれど足に履いた薄い布を通す、刺すような砂の悪意も、階段を半分下った頃にはもう感じなくなっていた。私の体内から放出される冷たさがそれを上回ったからだ。階段の底に蓋をするように閉ざされた扉に私はそっと手をかけた。
       磨いた木同士が擦れる音が筒状の通路に反響する。
       流転する運命に戸口があるのならば、今まさに私はそれを潜ったのだろう。
       目の前の景色は始まりの絵でもあった。
       始め、その人は顔をあげようとはしなかった。格子の向こうで蹲る“人間”は来訪者の気配にびくんと肩を震わせた。自身を抱くように肩に添えた手に力が込められ、その先が小刻みに揺れているのを私は見た。

       静かだった。
       
       聞こえる音は炎の揺らぎ。それと格子のこちら側で退屈そうにしている男の人(当然、モリビトだ)の、うんざりした呼吸の音だけ。
       私は無言で彼女を見続けた。自分自身と父と母以外では始めて見る、モリビトではない生き物を。
       袖から覗く指は私と同じような砂に近い色をしていて。髪の色は私とは違ったけれどモリビトの色でもない。樹海の外の宵の空と同じ色だった――最も、私が空の色を知ったのは後の事だけれど。

      「貴方は誰?」

       やっとの思いで私は問いかけた。この言葉を発するだけでも、私は振り上げた拳を他人にぶつける時ほどの勇気を奮い立たせる必要があった。
       人間は少し顔を上げた。簾のように落ちる長い髪の隙間から人間は私を伺った。用心深くありながら、既に希望を絶たれ抗う事すら止めた暗い目。きっと私も似たような顔をしていたのだろう。
       ここに来て私は疑問を抱いたのだ。始めて視界の片隅にその姿を認めたとき、私は迷い無く彼女を人間だと思った。少なくともモリビトではない。
       けれどこうして見れば、私はそれを人間だと断定する為の情報を何一つ持っていなかった。モリビトではない。しかし自分と同じ生き物だとも解らない。私は偽り無く人間だというのに。
       人間は私を見て驚いたようだった。その対象はおそらく、このモリビト達の中にいる同族の姿…だったのだろう。けれど僅かな間の後、驚愕はまた別の意味合いを帯びてくる。何かに思い当たったかのように彼女はもう少し顔を上げた。そしておもむろに口を開いたのだ。
       私は慌てて背を向けた。彼女から。
       その瞳から逃げたのだ。何か見知ったものを見るような目に。その影に潜む憐憫に。発されようとした言葉に。
       私の姿に見覚えなど在るはずが無い。赤の髪を持つ黒衣の人間の姿など彼女が知るはずが無い。
       だから私を哀れむ事など在るはずが無い。かける言葉など在るはずが無い。
       そう胸中で繰り返しながら私は冷たい地下牢を出た。そして全てを遮断するように扉を閉めたのだ。
       けれどそんな儀式めいた行為では、悪い夢から逃れることなんて出来なかった。
       それは組み上げた木材の隙間を意図も簡単にすり抜け、一歩を踏み出す私に執拗に追い縋るのだ。逃げる事は出来ないのだと。

      「今の娘、解るか?」

       扉の向こうの声が聞こえる。男の人の声が。
       聞きたくない。
       聞きたくない。
       張り詰めた予感に私の胸が幾度も叫んだ。唾を飲み込み気を紛らわせ、わざと大股で歩き身につけた鎖をしゃらしゃらと鳴らし。一刻も早くこの場を立ち去ろうと段を駆け上がる。それでも冷えた空気に慈悲なんてないのだ。それは耳に当てられた指さえも軽く乗り越えてしまう。

      「お前が殺した呪術師の娘だよ。可哀相にな」

       今更の事だった、筈だ。
       せせら笑いと一緒に聞こえた言を、既に私は知っていたはずだ。
       だというのに私の目から涙が零れた。
       最初から解っていた事なのに。解っていたことだからここに来たのに、どうして今更涙なんて出てくるのか解らなかった。
       あの人は今どんな顔をしているのだろう。
       報復を恐れただろうか。惨めな子を哀れんだのだろうか?

       **

       その翌日も。翌々日も。それから日が経っても。
       私は父を待ち続けた。そうする事が私の責務であるかのように。
       私の中では父は生きているのだ。真実を語らないモリビト達はきっと、私がそう信じ続ける事を望んでいるのだろう。…あるいは事実を知った私の姿を見たくないのだろう。
       だから私は望まれるよう振舞った。だから私の中で父を殺してしまうわけにはいかなかった。だからずっと待っていた。探していた。
       儀式を間近に控えた日。今日もまたモリビトの男達は狩りから帰る。

       ――お父さん見なかった?
       ――いや、見なかったよ

       そんな、視線も交わさないやり取りももう慣れたけれど、その日は言葉は交わされなかった。そして何時もと真逆に視線だけ交わされた。

       あの日と同じ違和感が私を駆け抜けた。

       狩りに出かけた彼らはまた獲物を持ち帰ってはいなかったのだ。
       そして私は振り返った。モリビト達の中央を歩く黒衣を纏ったその姿に。そこに一瞬だけ父の影が重なり直後にそんな自分を嫌悪したけれど。

       また、人間だ。

       今度の人間は捕縛されてもいなければ目隠しもされていない。そして自身の足で自身が望むようにその歩を進めている。周囲を取り囲むモリビト達も決してその人間を閉じ込めているのではない。守っているのだと解った。
       何より、その人は私の姿を認めてもさして驚く様子は無かった。僅かに眉を潜めたものの、モリビトの集落に佇む幼い呪術師の姿におよそ無関心だったのだ。
       私は肌があわ立つ感覚に身震いした。背中を流れる冷たい雫がじんわりと身を蝕む。
       また何かが起ころうとしているのだ。
       砂と風以外に流れるものなど何も無いこの『枯レ森』の、全てを流し去ってしまうような何かが。

       **

       その日は存外に早く私に訪れた。私はモリビトの長に呼ばれその元を訪れた。
       何時もどおりの場所に長は居る。その両脇を、祝福されたモリビトの戦士たちに囲まれながら。
       長の姿はとても幼く見える。けれどこの人は父よりもずっとずっと年寄りなのだと私は知っていた。

      「外の世界に興味はあるか?」

       長はおもむろに私に問うた。質問の意図が解らない私は深くも考えずに肯いた。
       嘘じゃない。興味はあるのだ。この『枯レ森』と私を飲み込もうとするその世界に。

      「お前の父母は元々樹海の外より参った。それは知っているな?」
      「はい」
      「お前は父母の故郷を見たいと思うか」

       そう問われ私は口を閉ざした。この問答は私が想像した以上に深く重たい意味があるのだ。

      「私はもうここには居られないのですか?」
      「…ツスクルよ」
      「私と同じ人間が、モリビトを脅かすからですか?それとも父が戻らないからですか」

       矢継ぎ早に私は問い続けた。今日は来るべき日だったのだ。
       長は軽く息を吐いた。こんな仕草を見せる時こそ、この長は見た目ほど幼くない事を実感したもの。

      「そうではない。全てはお前が決める事だ」

       長はそう前置いて私に語った。

      「あの人間を解放する事になった」

       その言葉に私の身体の中がかっと熱くなった。生まれた熱は一瞬で冷え私の身体を凍りつかせる。

      「儀式を中止するのですか」
      「そうだ。あの人間は新たな守り手として『枯レ森』を脅かす者を排除させる」
      「守り手?新たな?」

       鸚鵡返しの私に、長は少しだけしまったという顔をした。
       けれどすぐに気を取り直すよう咳払いし続けた。

      「ともかくだ。あの人間がお前を引き取るよう望んでいる。お前が望むのならば人の世界で生きる事も出来る」

       熱にうなされた時のように頭がぼんやりとした。
       突如現れた濁流に流されたのはこの『枯レ森』ではない。モリビト達でもない。
       私だけだったのだ。
       

       私は申し出を受け入れた。
       それが流された果ての漂着地で在るのか、自らが掴み取った流木であるのかも解らないまま。
       結局のところ私がその答えを私が見出すのは、それから10年近くの歳月が経ってからだ。
       無限のはずの小さな世界で限られた時をただ生きる私には、定められた未来の存在しか知らなかった。そんな私が人の未来が常に予測不可能なものだと知ったのは、ついこの間だったのだから。


       ***


       私の姿を見るとその人は少し微笑んだ。露骨に作り笑いだと思った。少し遠くでは二人目に来た人間…男の人がこちらを伺っている。
       私は欠片も愛想よくしようとは思わなかった。けれど私に残された道はこれだけなのだ。
       不自然に思われないよう、差し出された手を握り返した。砂のように冷たかったけれど、私はこれを離す事は出来ないのだ。もしこれを離してしまったとすれば、私の身に降りかかる痛みの代償を何に求めればよいのか。
       私が手を握った事を受けて彼女は少し安堵したらしい。ほんの小さな吐息が聞こえた。

      「レン…と言う」

       初めて聞いた彼女の声がそれ。レン。それが彼女の名前。
       …おかしな名前だと思った。彼女の両親はどんな思いを抱いて彼女をそう呼んだのだろうか。

      「君の事は何と呼べばいい?」

       そう問われたけれど私は答える事が出来なかった。
       私にはまだ名乗れるような名前が無かったから。…10の誕生日には貰えるはずだったのだけれど、くれる人はもう居ない。
       どれほどか無言でいるとレンはまたひとつ小さく嘆息した。

      「ツスクル…と呼んでも構わないだろうか」

       私は小さく頷いた。父と母がくれるはずだった名がもう無いのなら、呼び名などはどうでも良かったから。 
       きっと彼女は私の事をたくさん聞いているのだろう。モリビトから。もしかしたら私が知らないことまで知っているかもしれない。
       この人は私をどうするつもりなのだろう。何故『枯レ森』の外へ連れ出そうとするのだろう。…そこで何が起こるのだろう。
       けれど胸に湧き上がった疑問は煙の様に虚空に溶けてしまった。そんな事はどうでもいい。私の本当に知りたい事はそれほど多く無い。
       ――何故貴方は私の今を奪ったのですか。何故父を遠くへ連れていってしまったのですか。
       私は自分の胸でゆれる鈴をそっと握った。

       **

       初めて見た外の世界に何も感じなかったかと言えば嘘になる。私はただ驚き恐れた。
       巨大な建物を。多くの人を。溢れる色彩を。耳が痛くなるほどの音を。
       通り過ぎる人々の怪訝な視線を浴び、それに恐れ、私は思わずレンの影に隠れた。
       めまぐるしく移り変わる景色。絶え間なく行き交う人々。時間によって色を変える空。何もかもが未知の場所だった。
       とは言え今までの暮らしが一変するのかと思えばそうでも無かった。私は…私達は結局のところ一日の大半の時間を樹海で過ごしていたから。
       人の世界に出て初めて知ったことだけれど、私の生まれた『枯レ森』を含むこの樹海を、人間達は『世界樹の迷宮』と呼んでいるそうだ。その『世界樹の迷宮』に『枯レ森』以外の世界があることさえ私は知らなかった。…今思うと私の父と母やモリビトの長であるあの人は知っていたのだろうと思うけれど。
       私達が帰る場所は樹海の中。モリビト色の葉が生い茂る樹海の片隅だ。毎夜そこで眠りに付く。
       
      「樹海の方が落ち着くのだろう」

       レンのその言葉に私はとくに疑問を抱かなかった。事実そうだったから。人の街…『エトリア』という名らしい…に長く居る事は苦痛だったから。徐々に慣れれば良いとレンは言った。
       けれど私はすぐに気付いてしまったのだ。私が外界を拒んでいるのではなくて、外界が私を拒んでいるのだと。
       別に驚いたり悲しんだりはしない。それだって以前から何度も聞かされていた事だったから。
       私達呪術師は人間の中でも異端の存在だ。だから呪術師同士身を寄せ合い人里を離れひっそりと生きるのだという。
       彼らは細い鎖に繋がれる事で自分たちを守っていたのだ。そんな脆いもので外界と自分達を隔絶し生きてきた。まるでモリビトの様に。
       事実両者は似ていたのだと思う。少なくとも他の人間達よりは近しい存在だったのだと。理由は明白だ。一族の庇護を失った私の両親が求めた拠り所は、同じ人間ではなくモリビト達だったのだから。
       可笑しいと思う。呪言で心を探る私達を恐ろしいと言うけれど、人の心に踏み込み傷を残すのは私達の専売特許ではない。
       その目で。声で。その姿で。人間達は無意識のうちに呪言を扱っているというのに。
       それを否定するのなら、今私の心を縛り付けているこの力は一体何だというのだろう?


       ***


       『枯レ森』を出てからの私の時間は目まぐるしく移り変わるように感じた。
       毎日樹海を歩いた。私は生まれてからずっと樹海で生きてきたはずなのに私よりよっぽどレンの方が樹海に詳しかった。時折恐ろしい獣に出くわしてもレンは手にした剣で…モリビトの戦士たちが持つものより反りの浅い曲刀で…切り捨てた。私の父もあれで命を絶たれたのだろうか。
       必要があれば街にも行った。何度か行くうちに人の視線にはなれた。相変わらずエトリアに私の居場所は無かったけれど、少し楽しいと思う事も出来た。  
       そして稀に。本当に、極めて稀に。レンは一人で出かけていった。樹海の片隅に私を置いて。
       まるで父のように。
       そんな日レンは決まって言った。自分が戻るまで決してここを離れないようにと。そして明日まで戻らなかった時にはエトリアで一番大きな建物(執政院というらしい)へ行って欲しいと言い、それに必要だという小さな荷物を預けていく。
       言われなくても私は他に行く場所も無い。退屈にも待つ事にも慣れている。だからその日だって言われたとおりに頷いた。それも日常の一つ。ただ訪れる頻度が少ないだけの日常だ。
       一人だと途端に時間はゆるりと流れるようになる。少し前までは一人で居るのが当たり前だったからそんな事に気付きもしなかったけれど。
       この場所は嫌いじゃない。柔らかい風が流れて草の匂いがして。湿った土が軟らかく暖かい。地面に刻まれる陰影が時間と共に変化する、その動きが私は好きだった。樹海を闊歩する猛獣だって怖くは無い。仮に一人で出会ってしまったとしても鈴を鳴らせば彼らはすぐに逃げてゆくから。レンはそんな事は知らないけれど…。時折ある人の気配だけが何より怖かった。
       私はただレンを待っていた。
       彼女は私に何も語っていない。私も聞きはしない。彼女の心が見えなかったから。それまではまだ手の内を明かすつもりは無かった。
       レンは知らないでいる。私が全て知っている事を知らないでいる。
       でも、私は知っている。レンは全てを知りながら私に隠している事も。
       私が聞きたいのはありふれた自己弁護や許しを乞うための謝罪なんかじゃないのだ。私が知りたいのは脚色も誇張も無い事実…彼女の心だけ。
       だから私は沈黙を通していた。

       **

       ついに夜も更けた。何時も夕時には戻るレンは今日は戻らなかった。緩慢な時間の流れと共に冷えた空気が重く感じる。
       記憶の中に同じ感覚が眠っていた。私は毛布に包まりながらそれは何時だと思いを巡らせる。炎に一つ薪を投げ込んで。
       薪を飲み込んだ炎が、一瞬大きく膨れて揺らめく。それと同時に私の脳裏に懐かしい顔が蘇り、それが今胸中を満たす感情と重なった。
       私は困惑し首を振った。
       それは嘘だと。
       私が今待ち焦がれてるのは優しく尊い存在じゃない。私を抱きしめ暖めてくれる腕じゃない。
       ただ私をこの世界に繋ぎとめる執念の源。それだけだ。

       そんな時だった。ようやくレンが戻ったのは。

       私は始め言葉を失った。それを彼女だと思わなかったのだ。覚束ない足取りで身体を大きく揺らしながらこちらに近付いてくる、それ。体格が二周り以上小さい事を除けばその影は亜熱帯の森で見たナマケモノのようだったから。もし亡霊というものが実在するのなら、こんな姿なのだろうか。
       私は身を起こした。炎に迫りレンの姿が鮮明になる…酷く憔悴し、全身に無数の傷を負った彼女が。滲む赤色が裂傷の痕跡を伝え、裂けた着物の隙間からは火傷で晴れ上がった肩とだらりと垂れ下がった腕が見える。打撲痕のような青黒い痣も。
       彼女は私の姿を見止めると安堵したようにひとつ呼吸した。ただ呆然と見ていることしか出来ない私の前で、レンは崩れ落ちるように地に伏せた。

      「ツスクル…すまない。しばらく、動けそうに無い」

       か細い声がぼんやりとした私の頭を叩く。それでも私の身体は指先すら動かなかった。得体の知れぬ緊張に全身を縛られて。
       同じだと思った。父もそうだった。時折り酷い傷を負って帰った父。今のレンの顔はその時の父とまるで同じだった。
       その時私の記憶が再び囁く。幼い少女のような声で。モリビトの長が彼女を新たな守り手と称した、その言葉を。
       守り手とは何なのだろう。一体彼女は何をしていると言うのだろう。何から何を“守る”というのだろう?

      「明日…夜が明けたら…」

       そこでレンの言葉が途切れる。私の背中がぞくりとした。立ち上がろうとするも膝が強張りすぐには出来なかった。それでも、感覚の無い足を地に擦る様に彼女に歩み寄った。
       私が間近まで来てもレンは動かない。顔を覆い隠す長い髪を私が手で払っても、彼女は身動き一つしなかった。
       最初は死んでしまったのかと思った。
       恐る恐る首筋に触れる。指先に生命の流れを感じ私は軽く安堵する。けれど。
       彼女の顔は死に行く人間のそれだった。
       私の身体に酷く熱くそして薄ら寒い衝動が生まれた。湧き上がる感情はあえて称するなら怒りに近いものだったのだと思う。
       許せなかった。
       何も語らず。何も教えず。私をこんなところまで連れ出しておいて、そのまま勝手に、この世界から去ろうだ等と。そんな事許されるはずが無い。
       許されるはずも無いのだ。

       **

       私は一人宵の樹海に踏み入った。
       意外なほど恐怖心は無かった。生まれてからの殆どの歳月を樹海で生きたのだから当然と言えば当然なのだけど。ただ暗闇は不安だった。足元が見えず少し先も見えず。ランタンの使い方も良く解らない。今は明るく火が灯っているけれど、これが消えてしまったら油はどうやって入れればよいのだろう?
       けれどそれも最初のうちだけだ。磁軸を使えば見知った『枯レ森』にすぐたどり着くのだから。 
       『枯レ森』に夜は無い。少なくとも外の世界の人の言うような漆黒の空に小さな月と星が輝く夜は。上層階の光るコケの影響だと聞いたけれど、別に興味は無かった。
       私は懐かしい光景にしばし見とれた。流れる砂。乾いた風。硬くなった木々。外の世界と比べればなんて殺風景で味気ない世界だろう。けれど私はやはりここが好きだった。
       このまま帰ってしまおうか…不意に私はそんな事を思いついた。モリビト達の元へ帰るのだ。どうせ私には限られた時間しかない。どのような思いに身を苛まされようとそれも済んでしまえば一時の夢だ。瞬く間に流れる砂のように遠くに消え去って…その後には…。
       大きく頭を降ると視界がぐらぐらとした。私はそれ以上考える事を止め、そうして再び泉を目指し歩み始めた。
       時折訪れる空腹の来訪者を鈴の音で追いやり。道中見かけた世界樹の双葉よりその若葉を頂き。数多の流れを越えて、やがて私は泉に辿り着いた。
       この『枯レ森』にあって、唯一の色彩を持ったその場所。込み上げる望郷の念に涙が滲んだ。
       世界樹の葉をくるりと丸め器を作り私はそこに水を注ぐ。癒しの水を。傷を癒し疲労を消し生命を繋ぎとめる清水を。
       まだ彼女を失ってはならないのだ。
       レンから奪うのは私でなくてはいけない。他の何者であってもならないから。
       
       **

       再び翠緑色の暗闇に戻る。磁軸を抜けた途端に足裏に絡まる抵抗が消えた。硬い地面を歩く感覚が酷く味気ない。
       磁軸の明かりを頼りに私は再びランタンに火を灯した。ほくちを取り出し石を打って…こんな簡単に火を生み出せるなんて、この間までは知らなかったけれど。
       慎重に闇を進む。貴重な水を零さないように。私達の休息所までそれほど遠くも無い。まもなくだ。
       だけど目的地を間近に私は不意に違和感を覚えた。
       私は小走りに既に火の無い消し炭に駆け寄った。そして周囲をランタンで照らす。
       ……レンの姿が無い。何処にも居ないのだ。
       冷えた汗が流れた。足が腕が。全身ががくがくと震えだす。鼓動が痛いほどに早鐘を打つ。再びランタンで周囲を照らした。目の前のぬかるみに足跡が無いか探す為。そしてそのぬかるみを作っているのは本当に水なのか、確認する為…けれどランタンの光ではそれはわからない。
       なんて事だろう。冷静に考えれば在り得ない事だ。此処とて樹海の中、周辺を徘徊する獣はゼロではないのに。宵に歩く冒険者が居ないわけではないのに。そんな場所にレンを置き去りにしてしまうなんて。
       私はどうすれば良いかわからなかった。視界が白くなり思考は麻痺し。何も考えられなかった。『枯レ森』の荒野に一人置き去りにされたような恐怖と心細さが締め付けるよう私を襲う。指標も無い手探りに掴むものもない闇の中にただ一人放り出されたかのような。
       湧き水のように吹き出る感情に、ついに私は泣いた。大声を上げて。
       赤ん坊と同じだ。思いを処理する術を知らず、解決する術も知らず、ただ闇雲に手当たり次第に周囲に救いを訴えて。何が救いになるのかなんて自分でも解っていないのに。
       そして、やさしい手が差し伸べられない事に絶望して、それがまた悲しみに転化して。
       永久に続く循環を止める方法なんて、解らなかった。

      「何処に行っていた!?」

       突然の怒声に私は顔を上げた。かすむ視界にぼんやりと移る陰。ぴたりと止まった涙を私は慌てて拭う。

      「一人で出歩くなと言った筈だ!夜の樹海がどれほど危険か解らないのか!?」

       レンのこんな声を始めて聞いた。こんな剣幕を始めて見た。一瞬湧き上がった安堵などすぐ飲まれてしまい、私はただ恐怖に竦んでレンを見つめた。
       けれどそれも長く続かなかった。私の姿を確認して怒鳴りつけて。それが済んだレンは再び糸が切れたように膝を付いた。俯いた先の地面に水滴が落ちる。それが汗なのか血なのかは暗くて解らなかった。

      「ごめんなさい」

       思わず謝罪の言葉が口を出た。荒い呼吸の合間からすすり泣く様な声が聞こえたから。苦痛に混じった恐怖が見えたから。
       それで私は気付いたのだ。
       彼女もまた私と同じなのだと。
       自身が望んでもいない妄執に囚われ、それに依存する事で自分を現世と繋ぎとめているのだと。
       彼女にもまた私しか居ないのだと。

      「水を…取りに」

       やっとの思いで私は声を絞り出した。傷が痛むのか、レンは小さく呻きながら顔を上げた。

      「癒しの泉の…水を」

       両手でそっと器を差し出した。レンは幾度か瞬きをして私を見つめ、そして私の掲げた葉の器を見つめた。
       私は震える手で清水を一口レンに飲ませ、残りを彼女の傷に注いだ。彼女は黙ってされるがままになった。
       痛みはすぐに消えた筈だ。だがレンの顔は晴れない。それどころか更に沈んだようにさえ見えた。
       彼女はいつもそう。私が何をしても喜んだりしない。それどころか私が懇篤と振舞えば振舞うほど辛そうな顔をする。目を逸らす。そして謝罪するのだ。

      「…すまなかった」

       やっぱり、そう。もう痛みは無いはずなのに、何時までも苦しそうな顔をしている。少しくらい嬉しそうにすれば良いのに。
       その宵、私達は寄り添うように眠りに付いた。
       私達はたった二人。一人ぼっちの同士なんだ。
       彼女もまた身を寄せる場所など無いのだろう。私への悔恨の念で辛うじて生きることを許されているのだ。
       ならば。
       存分に頼ればいいのだ。私を。そして悔いればいいんだ――。


       ***

       
       暖かな樹海は今日は私に非情だった。毛布越しに伝わる土の感触はとても冷たく雨よけの板が叩かれる音が耳に響いて鬱陶しい。そして身体は熱を持って熱い。先日獣に負わされた傷から熱病に感染したらしい。
       レンが心配そうに私を覗き込む。けれどそんな彼女に構う余裕も私には無かった。ただ体中が熱を持って、頭が割れそうに痛いのだ。
       前にもこんな事があった。その時は母が鈴の音を聞かせてくれたのだ。けれど今は何も無い。鈴を聞かせてくれる人も、私に安らぎをくれる人も。
       私は朦朧としながら自身の鈴を手にとった。自分に呪いをかけることは出来ない。ただ母の記憶にすがるような思いで私は鈴の音を聞いたのだ。何も篭らない鈴の音を。
       その手すら感覚がなくなってきた。酷く寒く震えが止まらない。
       私はこのまま消えてしまうのだろうか。
       それでも良いかも知れないと、ふと思ってしまった。

       **

       それからはよく覚えていない。乱暴に揺さぶられながら私は何処かへ向かっているようだった。レンの背におわれていたと気付いたのはだいぶ後だ。
       がくがくと揺さぶられ全身が痛い。もっと優しくして欲しいのに。雨粒が当たる。冷たい。何かの喧騒が聞こえる。…怖い。
       うっすらと瞳を開ける。そこが何処かも解らなかった。けれど幾人かの大人が私達を取り囲んでいる。レンとその人たちの言い合う声が煩い。それらがさらに私を消耗させる。
       静かにして欲しいのに。そっとしておいて欲しいのに…。

      「ヴィズル!」

       意識を失いかけた私の耳に、誰かを呼ぶレンの声が聞こえた。
       …ヴィズル?誰の事だろう。私も見た事がある人だろうか。 
       胸騒ぎがした。恐ろしい予感が胸を満たした。その名はまるで呪いの言葉のように私を蝕むのだ。けれど私は思考を飲み込む雪白の波に抗う事が出来なかった。
       耳に反響する不協和音を残したまま、私の意識はそこで途切れたのだ。
       
       **

       次に目覚めたとき。私は話に聞いた天国にいるのかと思った。
       モアの羽の塊よりより柔らかくとても暖かい場所で私は目覚めた。真っ白のシーツからは花のような香りがして、頭をうずめた感触が心地よく私はしばし頬ずりするよう頭を動かした。
       それからゆっくりと顔を上げる。見た事のない場所だ。部屋の中なのだろうけれど…覚えが無い。ふと傍らを見ると何時も着ていたローブが畳まれ鎖と鈴と一緒に置かれていた。そこで私は始めて自分がいつもと違う服を着せられている事に気付いた。寝衣だろう飾り気のない服は、それでも私がこれまで袖を通したどの服よりも柔らかく、暖かく、軽かった。
       そんな夢みたいな場所でも私の胸に込み上げたのは不安だ。
       ここは何処なのだろう。そしてレンは何処にいったのだろう?
       また私は一人置き去りにされた心細さに締め付けられる。けれど同時にそんな自分に疑問も覚えた。一人が不安だと嘆く自分に。私は長く一人だったはずだ。そして今も…一人のはずだと。
       がちゃり、と金属の音に私は顔を上げた。だいぶ遠くに見える扉がゆっくりと、音も無く開かれるのが見えた。
       レン、だろうか?けれどそんな期待(期待?)は一瞬で破られた。現れたのは見知らぬ女の人だった。
       私は緊張に身を強張らせた。けれどその人は目覚めた私を見て微笑むのだ。父母とレン以外で、人間にそんな顔をされたのは私は初めてだった。

      「お目覚めになられました?」

       女の人…臙脂色の服に白い前掛けをつけた(この屋敷の女の人の多くは皆そんな格好をしている)女の人は私に歩み寄る。

      「失礼いたします」

       そう断りつつ私の額に手を当てた。柔らかい手だった。

      「熱は大分下がられましたね。何か召し上がられますか?」
      「…何か?」
      「グリッシーニであればすぐにでもご用意できますが…お時間をいただけるのであれば、ポリッジをご用意致します」
      「ポリッジ?」
      「麦を甘いミルクで煮たお粥です。温まりますよ」

       食事をくれると言っているのだろうか。けれど今、何か食べたいとも思わなかったし、食べられる気もしなかった。病気のせいか不安のせいか解らないけれど…。私は軽く首を振った。

      「それでは暖かいお飲み物をご用意いたしますね」

       そのまま立ち去ろうとする女の人を私は慌てて呼び止めた。

      「ここは何処?」
      「ここはヴィズル様のお屋敷ですよ。ヴィズル様の申し付けにより、お連れ様が戻られるまで身の回りのお世話をさせて頂きます」

       ヴィズル。私を背負ったままレンが呼んでいた名だ。その時からの疑問を私は目の前の人にぶつけた。

      「ヴィズルって誰?」

       そう聞くとそれまで笑顔を絶やさなかった女の人がほんの一瞬だけ怪訝に眉を潜めた。けれど直ぐにまた笑顔を取り戻し私の問いに応じた。

      「ヴィズル様はこのエトリアの執政院長であるお方ですよ」

       執政院長…つまり、この街の長だ。成る程、それはこの人も驚くだろう。そんな人物を知らない私の事を。
       けれど私が幼いゆえか、明らかな余所者であるゆえか、その両方か…その事をそれ以上訝しむ様子は見られなかった。素養の無い田舎娘だと思うことで納得したのだろう。それは事実だけれど。

      「レンは…何処に居るの?」
      「さあ…私にはそこまでは。数日は戻られないようですが、その間不便をさせぬよう申し付けられております。何か御座いましたらご遠慮なくお声をおかけ下さいませ」

       数日戻らない…その言葉に気を取られている間に女の人は部屋を出て行った。…言葉通りならば、何か飲み物を持ってきてくれるのだろう。
       状況がいまひとつ飲み込めずにいた。レンが呼んでいた人はこのエトリアの長。そして今私はその人のお屋敷でもてなしを受けている。柔らかく暖かい寝床まで与えられて。
       どうしてレンはそんな人を知っているのだろう。
       そこまで思い私は一つの記憶とぶつかった。モリビトの里に訪れたもう一人の人間の姿を。黒衣を纏った老人の姿を。
       その死神のような姿を思い返し私は毛布の中で一人震えた。
       あの人は何者なのだろう。あの人の一言によりモリビト達は儀式を取りやめレンを開放した。モリビトが『枯レ森』を脅かした人間を開放するなど考えられないはずなのに。
       得体の知れない存在に私は恐怖した。
       レンは何時戻るのだろう…甘く暖かいお茶や、香ばしい焼き菓子や、見た事もないような果物や…そんなものに囲まれながら、私はレンの事ばかり考えていた。

       **

       数日が経った。私の身体はすっかり元通りになり、最初に会った女の人の言葉通り不自由する事は何一つ無かった。けれどレンはまだ戻らない。
       この屋敷で会う人は皆私に優しい。初めはあの女の人が特別だと思ったのだけれど、交代で世話を見てくれた女の人も、私の身体を見てくれたお医者様も、暇つぶしにと話をしに来てくれた人も…皆優しい。初めは不思議で、不気味にすら思った事だけれど段々理解してきた。
       ヴィズルという人のお陰なのだろう。モリビトの態度を変えさせたように、あの人が言えば人間達も不気味な呪い師を手厚く持て成すのだ。恐れることも無く。それが長という存在なのだろう。
       長に限らず生き物の世界とはそんなふうに成り立ってる。力の強い者がルールを定め、弱い者の多くは何の疑問も持たずに進んでそれを受け入れる。力という言葉の意味する内容は万別であるし、その入手方法もさまざまであるけれど。
       けれど、それでも私は怖かった。今私がいる場所はあまりに非現実過ぎて。じっと目を閉じてもう一度開いたら全て消えてしまっているんじゃないかって、そんな風にも思ってしまう。目の前にあるベッドや鮮やかな陶器に挿された花々や絹で出来た服だけではなくて。
       ……私はしばらく置かれたままの呪術師の鈴を手にする。ローブは綺麗に洗濯されていたけれど、この鈴や戒めの鎖には触れられた形跡が無かった。私を繋ぐ鎖、これさえ消えてしまいそうで怖かった。だから私はずっとレンの帰りを待っていた。

       それからまた、しばらく経った日だった。レンが戻ったのは。

       久方ぶりにレンの姿を見て、私はしばし言葉を失った。
       そこに立つ彼女は以前の彼女とは全く違って見えたのだ。その眼差しから一切の熱が消え、かといって怒りや負の感情があるわけではない。近づくだけで身を斬られるかのような気配に私は直ぐに立ち上がる事が出来なかった。

      「長く待たせたね。すまなかった」

       そんな言葉を聞いて私は始めて腰を上げる事が出来たのだ。しかし違和感は消えはしない。殺伐とした冷涼な空気が彼女を取り巻き、私は未だ部屋に入ってきた彼女を直視出来ていない。

      「身支度が出来たら行こう。外で待っている」

       その言葉に私は従った。久しく身に着けていなかったローブは花の匂いがした。首にかけた鎖と鈴が妙に重く感じた。
       私はレンの傍に居るのが怖かった。
       以前より険しい目付きはその色も相俟って寒気さえ覚えた。私と同じだった孤独な迷い子の顔は微塵も無かった。…私は一人取り残されたような気分になった。
       そう感じるのは私の錯覚でもないようだ。街を歩く私たちとすれ違う、周囲の人達の視線が違うのだ。以前のような侮蔑ではなく…侮蔑もあるのかもしれないが、それ以上にそこにあったのは畏敬の感情。
       レンが行く先では皆が振り返る。尊敬の裏に隠れた、恐ろしい怪物でも見るような視線が突き刺さる。レンもまた獣のような眼差しを周囲に向ける。ぞっとするほど静かな視線を。
       私は彼らを振り返る。その時に不意に耳に飛び込んできたのだ。
       『氷の剣士だ』って…。
       何だろう?『氷の剣士』ってレンの事なのだろうか。
       口の奥に苦い味覚が広がった。何故そんな事を言うんだろう。何故氷だなんて言うんだろう?
       レンはそんなものじゃない。そんなに硬く冷たいものではない。
       私はやや前を行くレンの腕を掴もうとした。その肌の熱を確かめたくて。けれどそれは叶わなかったのだ。
       見えない何かに遮られ私は手を伸ばす事も叶わなかった。

       **

       辿り着いたのは宿の部屋だ。多くの人達が集う宿、その一室。
       私は驚いた。これまで私たちを…正確に言えば私を…受け入れてくれる場所なんて無かったのだから。けれど今日は(そしてそれっきり一度も)咎めたり拒んだりする声は無かった。どれほどの人間の中に居ようとも、以前のような蔑むような視線も時としてあった容赦ない罵倒も、何一つ無くなったのだ
       あるのはただ、敬いつつも恐れを抱いた視線だけ。
       けれど私はその方がずっと怖かった。そんな視線も、全身に冷たい棘を纏ってしまったかの様なレンの姿も。
       数多の人間に嫌悪されるよりも、その方がよっぽど怖かったのだ。

      「…うん?」

       部屋の片隅に荷を置きレンは振り返った。戸口に立ち尽くす私に気付いたんだろう。

      「どうした?」

       尋ねながらレンは微笑んだ。そのささやかに滲み出た感情に私はようやく彼女が戻ってきたことを実感したのだ。
       安堵感に全身を支える一切の力が抜け、身体がじわじわと熱くなる。床に座り込んだまま、気付けば私はまた涙を流していた。
       レンが慌てて駆け寄ってくる。いつもの素振りで。何かにつけて申し訳なさそうに言う彼女の顔で。

      「すまないね。しかし何時までもヴィズルの世話にはなれないんだ」

       違う。違う。私は首を振った。そんな事で泣いてるんじゃない。
       差し出されたレンの腕を掴んだ。傷跡の膨らみが指に触れる。先日、遅くまで戻らなかったときの傷だ。けれどそれだけじゃない。また増えている。
       私の知らないところでレンは何をしているのだろう。何がおこっているのだろう。
       昔からそうだった。何も教えてくれないまま皆私の元を去った。
       それが嫌で嫌でたまらなくて、私は安穏とした世界から去ることを自ら望んだというのに。結局私の知らないところで歯車は回るのだ。

      「ヴィズルの邸宅ほどは快適ではないが…これからはもう、土の上で寝る事もない。ツスクルに不自由させる事も無い」

       レンがどれほど優しく語り掛けてくれても、私の涙は止まらなかった。
       だって彼女の言葉は私が求めて居るものではないんだから。
       また何かが変わった。
       …違う。運命は常に流動する。『枯レ森』の外では世界は常に流動するものなんだ。一時とてそれは止まったりしない。故に私も走り続けなくてはならない。
       私は唇を噛んだ。流れ続けた涙はようやく収まった。
       真っ黒な腕がレンを捕らえ何処かに連れて行こうとしている。その手の持ち主を私はきっと理解している。
       私はそれを憎んだ。
       私から彼女を奪い去ろうとするものを。私への贖罪以上に彼女の心を占める存在を。
       その後も、ずっと。彼女の身に刻まれる傷が増えるほど私はその存在を思い知らされ、そのたび私は黒き影を憎んだ。
       私じゃない存在に彼女が縛られ傷つけられる。それは嫌だ。
       それは彼女に未来を塗り替えられた、私だけが持つ権利なのだから。
       他の誰にも決して許してはいけないのだから――。



       ***



      「…どうした?」

       耳慣れない声と同時に賑やかな雑音が再び私の耳に流れ込む。
       追憶の渦から引き戻された意識が今を思い出すまでには少し時間があった。
       私の隣に居るのは錬金術師の男の人。…今ではエトリア屈指のギルドとなった『アセンブリッジ』のリーダーだ。
       …レンを苦しめる人。けれどレンを救ってくれるかもしれない人達。

      「ひとつ、聞いていいか」

       彼が私に言った事は、私がずっとかけられたかった問い。むろん彼からじゃない。…レンに。
       私は答えた。レンに答えるように。
       何時か、きっと。出来れば近い未来に。
       何の気後れも探りあいもなく彼女と向かい合える日が来るはず。
       これはその時の練習だ。必ず来る日の練習なのだ。
       きっと、あと、もう少しで。





      私も又聞きなので何処でどのような流れの中での発言かは知らないのですが某ゲーム製作者のえらいひとのご発言で
      「100人に1人しか笑わないギャグなら100個用意すればいい」みたいなものがあるそうで。
      私はこの考えに大いに共感致しますと言うか、たぶん発言者の趣旨とは違うんですけど、「100人全員が笑うギャグだけじゃなくて、100人に一人しか笑わないギャグだって世の中には必要なんだよ!」と思ったりするんです。
      自分がマイナー嗜好のせいもあるんですが、やっぱり「Aの方が人気あるからBはいいや」とか切り捨てられると超悲しいじゃないですか!
      でもね、需要少なくても0じゃないハズなんですよ。
      だったらその、自分と共通する感性をお持ちの、1か2のありがたい需要の為に書け(描け)ば良いんだ!別に一つの作品で100に喜んでもらおうとしなくて良いじゃない!という発想で日々痛い妄想を繰り広げております。
      結構私自重してませんが、何も考えてないわけじゃないんですよ。
      傍(それ(作品とかキャラ等)が好きなわけでは無い人)から見れば痛々しく見えるんだろうなあ、くらいの作品の方が萌えませんか?少なくとも私はそうなんですけど!
      中途半端な自重でね、折角の僅かな需要にすら答えられないなら、いっそこんなもの(人として持つべき理性)捨ててくれるわ!という発想なんです。ええ。だって本当にどうにもならなくなったらさっさとブログ畳んで逃げりゃいいんですし!(リアル友人や家族には一人も教えてませんからね!このブログ!!ネット友人には一人教えたけど!)昨日その一人のご自宅で晒されました☆リアルではまだ沈黙してます。
      ってわけで100人中99人に痛い子と思われても笑ってくれる1の為に妄言ぶちまけるのです。
      その1すら居なかったら爆笑なんですけどねwwwww(ああ、1はいますね、自分自身が)

      と、言い訳はここで終り!

      書く書く言ってたレンツス過去捏造話でっす☆
      えっと、回想の最後の段階での二人の年齢はレンが16,7歳でツスが10歳前後という妄想です。多分!
      というわけで私の脳内設定ではこんな感じになってますが、それで自分的に100点かって言われるとそうじゃ無かったりするんですよね!
      最初はもっと普通に、レンもツスも普通のギルドのギルドメンバー同士ってだけの関係で、
      F25にたどり着いて…で、生き残り二人的な風に考えてたんですけど(この辺りの設定でうちのショタパラ(ロイ)との接点も考えてたんですが)。
      …以前にも書きましたが、やっぱり最初に世界樹の王に自力でたどり着いたのはPCであるべきでしょ、とか、ツスクルの名前のネタとか、あとPCの第四階層到達までモリビトの存在が公になって無い事実とか完全スルーになってしまうので…。
      レンの自力到達は第四階層まで、ツスの生まれはモリビトの集落って最初に縛ってですね、そこから妄想に妄想を重ねた結果であります。
      第五階層まで行っててくれたほうがヴィズルとの確執的な話は面白かったと思うんですけどね!
      ってわけで自分設定では萌えが満足しないので、誰か萌えストーリー捏造して下さい!っていうか執筆中にもいろいろスナイピングされたりで『 ひ っ く り 返 し た い !!』と日本の(だいたい)中心で叫んだものです

      あとはカスメの俺設定の補則的な事とか。
      ツス母がモリビトには呪言を使うけど、ツスには使わなかったというのは、
      呪言(催眠術)はあくまで“苦痛を取り去るもの”であってその根源を無くす事ではないからですね。
      痛みって警報機みたいなものですから、安易に取り去ってしまうと返って危険なのと、
      俺設定では「カスメは同族を呪ってはいけない(呪えない)」となってるので、その流れです。
      ツスはまだ小さかったので、「呪う事ができない」条件を満たしていなかったのでやろうと思えば出来たんですけど。
      モリビトは基本的に寿命が存在しないので、大抵の病気は治ってしまうので特に問題なく術をかけちゃって大丈夫、みたいな感じですかね。

      以前ちょっと某絵茶でお話させていただいたんですが、
      カースメーカーとドクトルマグスって一種共通したところがあると思うんですよ。
      巫術も催眠術…というか自己暗示の一種かなと。
      カスメは心術で相手を害しますよね。
      カスメ「お前今縛られてるから。動けないから」
      相手「はい動けませんー」
      って。ペインもあれです。大昔にwiki絵板にペイントレード=「ナ○ヅメハガレタ」って絵を投降した事あるんですがね、そんな感じだと思います。
      カスメ「『たんすの角に小指ぶつけた』『アルミ箔奥歯で噛んだ』『ズボンのファスナー上げようとしてぴーーーーをぴーーーーんじゃってしかも外れない!』」
      相手「いたいいたいいたいいたい言わないで助けて」
      みたいな。
      逆にドクトルは心術で相手(あるいは自分)を超人的な存在だという暗示をかける、ような。
      ドクトル「お前超強いから。お前超頑丈だから」
      対象「やっほー俺最強ー」
      みたいな。
      ってわけで原理は一緒ですが根付く発想の違いから使用法が異なり、それぞれ得意とする分野が顕著になっていった…と妄想してます。
      って言っても、まだドクトルマグスがどんな存在かイマイチわからないので(公式のマグ伯父さんなんて「それメディックの事ちゃうん?」な発言しかしてないし)(でも2じゃ修正されてるよね、メディック!)、ゲームプレイでこの妄想変わる可能性ありますけどね!

      カスメが随分嫌われ者的な扱いされてますが、これは全国共通のものではなく地域差があるものとして妄想してます。
      脳内設定ではカスメの中でもいくつか流派(=一族)があってそれぞれに固まって暮らしていて違う一族同士の交流は殆ど無いとしてます。
      お互いがそれぞれ保守的な上数も少ないので、遭遇する機会がほとんどないという感じですかね。
      とは言え中にははぐれ呪術師も居ないわけではなく、うまく世渡りして比較的偏見の少ない地域で(未開の辺境か、逆に超巨大都市かだろうと思います)一般社会に溶けてる人もいる…という感じで。でもそれは例外中の例外で。
      ツスの一族は太古にたまたまモリビトとの繋がりがあったので(と、いう俺設定)、そこに頼ったって感じですかね。
      でもまあ、どんな出自の人でもそれを上回る存在になっちゃえば(簡単な事ではないですが)いつの間にか皆気にしなくなるもので、
      ひとつ前例を作ればその他のカスメに対するイメージも変わっていくもので、
      ついでエトリア自体がどんどんよそ者が入ってきてるって事もあり、
      そのうちエトリアの大部分の人がカスメって存在を、受け入れるとまではいかなくても黙認はできる状態になったと妄想してます。

      そういえば私はよく公式設定公式設定とうるさく言いますが、
      「公式設定遵守せよ!」って意味で言ってるわけじゃなくて、読んで下さった方に、公式やそれに準ずる発言と私という1ユーザーの妄言と混同させないようにってだけです。
      勿論、妄想設定と理解したうえで「その設定いただきます」と言って下さる分には歓迎なのですが、私の妄想を公式設定と誤解させてしまったら申し訳ないので。
      っていうか過去にそういうミスリードを誘うアレな人と会った事がありまして、いろいろとね!(笑)
      個人的にはゲーム側で用意された設定を元に俺設定発展させる形式が好きなんですが、単純にそれが楽しいだけで「二次創作とはかくあるべき」何てさっぱり思っては居ませんし。
      ついでに妄想の際にそれっぽい根拠とかも並べてますが、それも「設定には筋をとおさなきゃなんねえ」ってわけじゃなくて、フレーバー程度の意味合いだと思ってます。隠し味というか。
      例えば、造花ってあるじゃないですか。最近のって結構リアルで、ぱっと見では本物と見分けがつかないのあるじゃないですか。
      その時私が確認するのって、キズがあるかどうかなんですよね。葉が折れてるとか、葉の淵が変色してるとか、花びらが傷んでるとか。
      逆に言うと、そういうキズを作る事で造花がより本物っぽく見えると思うのですけど。
      でも、だからってリアルさだけ追及したキズだらけの汚い造花なんて誰も求めてないじゃないですか。
      要はそのキズ部分が、いわゆる設定の根拠とか裏づけの部分って感じですかね。
      だからいい加減な部分もありますし大嘘もついてますし(わざとやってる部分もあれば素でリサーチ不足な部分もあり)、それでいいと思ってるし、開き直ってます!!
      …と、言っても私が元々設定厨なのでさじ加減とか微妙なんですが。
      楽しいですと言って下さる方々がいらっしゃる反面、同じくらい「お前の話は理屈っぽくて腹下すわ」って方もいらっしゃるだろうなあとか思ってます。
      …何が言いたいかというと、もっと妄想も考察も気楽にやればいいじゃない!とい事なんですけど。

      ともあれ、酷い捏造ストーリーにお付き合いいただきありがとう御座いました!


      目次へ戻る
      TOPへ戻る
      | リプレイ小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by ゆの字 -
      スポンサーサイト 07:33
      0
        | - | - | - | posted by スポンサードリンク -
        Comment








        Trackback
        この記事のトラックバックURL: トラックバック機能は終了しました。
        << NEW | TOP | OLD>>