Epic Theft世界樹の迷宮メインの二次創作とか語りなブログ。
旧世界樹のめいろですが別に中身なにひとつかわってません。
絵とか小説とかあるよ。CATEGORIESからどうぞ。
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公式とは全く関係ありません

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    【小説】第二十三話:攻略 23:31
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       ベルダ広場を北に進んだ先にエトリアでも随一の邸宅地がある。本通と同じほどの幅の道には豪奢な邸宅が並び、その近辺に金持ちを相手とした高級店が軒を連ねる。そこでは料理に服飾に、それこそ食器や家具でさえ娯楽品か芸術品だ。
       ベルダ広場であれば石を投げれば当たるほど居る冒険者の影も殆ど無い。居ても一目で冒険者と解る姿ではないはず。
       …はず、だった。
       区画内でも一際目立つ白亜の豪邸の前にその姿はあった。屋敷と対照的な黒尽くめ姿は呪い師の装束と見える。何にせよじっと屋敷を見つめるそれが異質な事に変わりない。
       屋敷の中より奉公人と思しき男が出てきた。第三者の目があれば薄気味悪い不審者を追い払いに来たものと見ただろう。だが予想に反し男は躊躇無く門を開けると、あろう事か呪い師に対しうやうやしく頭を下げた。

      「エンプティ様、お待ちしておりました」
      「さあ、案内を願いましょう。…さっさと済ませ晩餐の準備に入らねばなりませぬ故」
       
       ローブの下の笑顔…おしろいを塗りたくった顔は婦人の身嗜みと言うよりは最早道化師のそれだ。その上、目尻には涙模様のペイントまで施されている。
       黒ローブと戒めの鎖。そして鈴。一見は呪い師特有の風変わりな装束であるが、良く見ればローブは天鵞絨素材であり、擦り切れていると見える裾はカッティングによる装飾だ。鎖も金の含有量が多い。が、鈴だけは…他の呪い師と変わらないものだった。
       彼女は颯爽と肩で風を切り歩き出した。案内を願うとは言いつつも、その足運びから到達地は知っているものと伺えた。
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      【小説】第二十二話:暗流 07:28
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         橋の上より眺める光景…モリビト達が石の樹海と表現した情景は果てしなく何処までも続く。
         エトリアより翠緑の樹海に入り、亜熱帯の樹海や幻想的な蒼樹海、そして恵み無き枯れた森を越え下った先にこの地がある。彼方の塔が薄もやに溶け入る様とそれが意味する広大さは、まるで上層部とは隔絶された別世界のようでもある。 
         現実とは思えない不可思議な景色。かといって空想や夢物語と表現するほど魅力あるものでもない。ただ殺風景なそれ。しかしどうしてか望郷の念を覚えるのは、ここが人の起源であると聞いたからだろうか。
         風が吹いた。それは既に使用し効力を失った『アリアドネの糸』の残骸を宙に吹き飛ばす。彼方を飛ぶ鳥を象るよう虚空に舞った糸はやがて青くない空に消えた。
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        【小説】第二一話:双璧 12:05
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           『世界樹の迷宮』にまつわる物語は、後に多くの人々に語られる事となる。
           世に存在する色彩の数ほどの詩人達が思うままに奏でたその歌は、やがて一つの書にまとめられた。その際に削られたエピソードにこんな話がある。


           男が問うた。その者達の中には、かの剣豪ケンドリックをも凌ぐ剣の使い手が居たのだろう、と。
           隻眼の男は首を振る。いや、そこの剣士は手が早い事だけが取り得の大ばか者だと。
           再び男が問うた。では、その者達は、“山神の”エリシオの如く、さぞ地形に対する心得があったのか。
           隻眼の男はやはり首を振る。確かに察しはいいヤツは居たが、ここぞという時に小胆だ。
           首を傾げつつ、またも男は問う。では、高名な軍師シンバルの如く知略に長けた策士がいたのか。
           隻眼の男はそうでもない、と言う。人より少しばかり頭は回るようだが、爪が甘い。
           業を煮やし、男は問う。では、彼らは如何にして英雄となったのか、と。
           隻眼の男は、その問いを待っていたとばかりに破顔した。
           


           …かの英雄達には輝かんばかりの才は無かった。かと言って、多芸を極めていたわけでもない。
           だが、振り返り見ればそれが功を奏したのだ。
           一芸に秀でていない。それゆえに自身の引き際を知っていたし人に頼る事にも躊躇が無かった。
           多芸を極めてもいない。それゆえ、それぞれの両分を奪い合う事も無かった。船頭多くして舟山に上る、などという事は無かったのだ。
           言ってみれば、運が良かった。そうともいえる。彼らを間近に見ていたものであれば、皆そう言った事だろう。

           だが、そんなエピソードは華美なる英雄譚にはそぐわない。
           このほか、似たように削除されたエピソードは山のようにある。そしてそこに入れ替わるよう付随されたエピソードも。
           削除されたその殆どは、より彼らに近しい詩人が歌ったものであったとか。
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          【小説】第二十話:金色 00:24
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             石と土と木。自然素材の特性を隅々まで理解し余す事無く活用する事で『モリビト』達の住処は作られる。樹脂を塗った蔦を結い上げた敷物は撥水性に富み頑丈で、その独特の織り方は表面に美しい文様を浮かび上がらせる。天井部の負荷を軽くする為の工夫だろうと見える石の配列もまた、遠目には徐々に白ずむ宵明けの空のように見えた。
             普段の少女であればそれは目を輝かせ、周りに人がいるのであれば誰彼構わず語りかけた事だろう。そしてあれは何かこれは何かあの柄模様はどのように染めるのか、この戸口の仕組みはどうなっているのか、事細かに尋ねた事だろう。

             だが今の少女の瞳には、その魅力的な全てのものは何一つとして映っていなかった。

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            【小説】第十九話:煉獄 13:16
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              「なんだこれは」

               その日の夕刻部屋に戻ったリュカの目は、ただでさえ狭い部屋を圧迫するよう詰まれた荷物に奪われた。
               『モリビト』との和平交渉を明日に控えたこの日。彼は執政院にて最終的な打ち合わせを終え、緩やかな疲労と帰途を共にして来たところだ。

              「『モリビト』にくれてやる品だとよ。さっき役人が持ってきた」
              「…まあ、確かに、国の使節が書状を持って相手を訪ねる時にはお土産とか持っていくものだけど」

               何考えてるんだか、と毒づくヴィルジールにロイが口添えをする。
               言いながらもロイも辟易気味だ。巨大な木箱と樽を担いで樹海に入るような事はこれまで考えた事が無かったし、考えたくもなかった。

              「ンなもの持ってったって、奴らが喜ぶかよ」
              「…それでも、礼を尽くすポーズも見せないとって言ったのは、こっちだし」
              「こっちって言うか、お前だろ」

               痛いところを付かれ目を背けたロイ。その彼の瞳に信じられないものが映った。
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              【小説】第十八話:固守 13:32
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                 鈍い銀色のドアノブは、夜の空気に冷やされひんやりと肌に滲んだ。ゆっくりとそれを回し扉を開けると、暖かい風が頬を撫でるようにすり抜け、廊下へと逃げ去っていく。

                「や、お疲れ」
                「おかえりなさいませ」

                 カードに興じていたと見える二人…アルフォンスとゲオルグの笑顔に何時も以上の暖かさを感じた。ただいまと答える自分の声が、今のロイには妙に心地よかった。
                 全員が部屋に入り、扉が閉ざされる。それとほぼ同時だった、執政院からの帰途の間ずっと無言であったテアが、両手で顔を多いながら床にへたり込んだのは。
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                【小説】第十七話:渇欲 13:46
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                   荒涼たる枯れた樹海。まるで砂漠にも似た場所で、草原と太陽の色を持ったそれは、紛う事無い恵みの象徴だった。
                   死に絶えたよう見える大地とて、生命の息吹は潰えてはいない。それを証明しているかのように、『モリビト』の姿は枯れ木の森によく映える。

                  「待って…!」
                  「先、行くね」

                   枯れ木の隙間で、豊穣の女神の姿が消えうせる。アルステーデが足を速め先行すると、その後姿が辛うじて見て取れた。

                  「こっち、早く!」
                  「俺らはいいから、行け!!」

                   ヴィルジールの声に押されるように、アルステーデは腰をかがめて茂みの中に入り込んだ。
                   彼女を見送りながら、ヴィルジールは嘆息する。

                  「どうした?」

                   丁度横に並んだリュカが問う。ヴィルジールは頭を振る。

                  「いい大人が、よってたかって小娘追い回して、みっともないったらありゃしねぇ」
                  「なに、普段のお前も似たようなものだろうが」

                   彼らはB17Fにて再び『モリビト』の少女の姿を見つけ…逃げる彼女を追っていた。
                   砂漠で旅人を惑わす蜃気楼のように、姿を見せては消え、消えたと思ったらまた姿を見せ…そんな事を繰り返す、少女を。
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                  【小説】第十六話:流転 12:34
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                     オレンジと藍が彼方の空にて混ざりあう時刻にもなれば、日差しの隙間を冷涼な空気が流れてゆくような、宵長の季節のはじめの頃。
                     その日は取りたて、なんの変哲もない日であった。収穫祭を控え準備に追われる日でもなければ、とりたて大きな事件があったわけでもない。そんな日に執政院は慌しく動いていた。
                     長く病床に伏していた執政院長、ヴィズルが公務に復帰するとの報が突如舞い込んできたのだ。
                     誰しも待ち望んだ日であり、誰しも明主の帰還を喜び祝った。
                     その賑わいの中を、異国の装束に身を包んだ剣士は足早に通り抜ける。

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                    【小説】第十五話:海原 23:00
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                       カーテン越しのゆるい光にあてられ、太陽を迎え入れる空の如く、真っ黒だった視界が白ずんで来たころ。
                       遠くより鶏の声が響き、目覚めの扉を叩くのだ。
                       そして徐々に耳に外界の喧騒が届き、朝の訪れを知る。時には、食堂からパンの焼ける匂いを感じながら……それが、普段の目覚め。
                       だが今日は違う。夜明けより少し前、静寂を破る雑音にて目覚めを迎えた。

                      「…ああ、おかえり」

                       眠い目をこすりながらロイが呼びかけると、暗闇の中でうごめく影が口を利いた。

                      「悪い、起こしたか?」
                      「ううん、いいよ」

                       ロイはゆっくりと寝台から降りる。亜人の調査のため、深夜の樹海を探索していたリュカが帰ってきたのだ。本人なりに音を立てぬよう気遣ったつもりなのだろうが、静けさの中ではどんな音もよく響く。胸中に渦巻く様々な思いゆえに、眠りも浅いロイには尚更。

                      「食堂、あいてるの?」
                      「開いてはないが、用意してくれるそうだ。お前も行くか?」
                      「うん、そうする」

                       皆を起こさないように静かに着替え始める。話したいことがたくさんあったのだ。

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                      【小説】第十四話:華 13:35
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                         朽ち果て空洞となった巨木の内部は青く、何かの胞子が天幕のように周囲に張りめぐらされている。それを伝い落ちる水滴は鉄琴のような音を反響させ、空洞が静寂に支配される事は決して無かった。長い時をかけ水滴により研磨された足場に時折滑りつつも、彼らは奥へと進んだ。
                         さしこむ光に引き寄せられるように穴を抜けたロイは、目の前に広がる光景に息を飲む。迫る天井に、時には腰をかがめつつ進むほどに窮屈なアリの巣を抜けた先には、広大な蒼の大地が広がっていたのだ。
                         その彼方では地面と木々と空、僅かずつ色調の異なる蒼達がぼんやりと混ざり合い、その境界を溶かしていた。どれほどの距離があるのか目測する事は、アルステーデでも不可能だろう。
                         雪を踏むのに近い音を立て氷と土の入り混じった地面を踏みしめる。無意識に背伸びをしつつ数歩歩いたところで、ロイは進路を横切るように流れる水の存在に気付いた。

                        「川だ」
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